[P-093-C] 当薬局における睡眠導入薬の処方トレンドおよび併用薬解析
【目的】近年、新規作用機序の睡眠薬が上市され、入眠および覚醒に対する様々な作用の薬剤がある。睡眠障害は主要疾患であることは少ないため、患者の状況によって、有効性よりも安全性を第1に担保する選択が重要である。処方実態を把握するため、睡眠薬の変更、年齢、併用薬の違いについて解析した。【方法】調剤薬局の処方データ2013年1月~2023年8月の1,224,670件から睡眠薬の処方データ39,263件を抽出し、トレンド、薬剤変更、併用薬、年齢を調査し、χ2乗検定およびt検定により解析した。【結果】2013年から2018年までベンゾジアゼピン(BZ)系、非BZ系の処方数が多く、近年ではメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬(OXI)が増加していた。スボレキサントから中止後レンボレキサントへの変更患者は16%、その逆は4%で有意差を示した(p=0.033)。平均年齢において、BZ系(82.5歳)とラメルテオン(RA)(84.9歳)(p<0.001)、非BZ系(84.4歳)(p=0.007)、OXI(84.64歳)(p=0.005)との比較で有意差を示した。また、90歳以上の超高齢者の割合でもBZ系(21.7%)とRA(34.3%)(p<0.001)、非BZ系(28.7%)(p=0.009)、OXI (29.7%)(p=0.008)との比較で有意差を示した。認知症治療薬の処方併用率ではBZ系(処方前9.2%、処方中20.0%: p<0.001)、OXI (処方前25.1%、処方中29.1%: p=0.285)、RA(処方前22.2%、処方中30.3%: p=0.045)であった。【考察】解析対象は比較的、高齢者の処方データであり、本研究によって望ましい処方選択として筋弛緩作用による転倒リスク、アルツハイマー認知症やせん妄リスクの高いBZ系から安全性の高い新たな上市されたOXIおよびRAの汎用性が示唆された。