[P-094-A] 消化性潰瘍治療薬の併用処方薬による臨床的因子の比較解析
【目的】攻撃因子抑制薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)、ボノプラザン(PCAB)とH2受容体遮断薬(H2B)は消化性潰瘍のみならず、薬物療法の消化器障害の副作用予防にも使用されるが、添付文書上、消化器症状の副作用発現も示されている。消化性潰瘍治療薬の違いを把握することは、処方選択に重要であることから、併用薬の解析から消化性潰瘍治療薬の臨床的因子を比較解析した。【方法】2013年1月から2023年8月までの調剤薬局の処方データ3527人からPPI:1304名、PCAB:235名H2B:538名の処方患者を抽出し、レバミピド、抗血栓薬との併用状況および処方前、処方中での便秘薬、止瀉薬の処方率を比較解析した。【結果】H2Bとの併用として、PPIは42例(3.22%)、PCABは3例(1.28%)であった。レバミピドとの各併用率 (PPI22.6, H2B19.9, PCAB16.6)には有意差は示さなかった(p=0.078)。抗血小板薬の低用量アスピリン(LDA)との併用率(PPI24.6, PCAB21.7, H2B18.0)は、PPIとH2Bで有意差を示し(p=0.002)、クロピドグレルでは有意差は示さなかった。抗凝固薬のDOACとの併用率(PPI 12.1, PCAB12.3, H2B4.5)ではH2BよりPPI、PCABが有意に高く(p<0.001)、ワルファリンでは有意差は示さなかった。便秘薬処方は攻撃因子抑制薬の処方前から処方中で有意に増加し、止瀉薬処方はPPIのみ有意に増加した。便秘薬、止瀉薬ともにPPIの処方併用率が高かった。 【考察】上乗せ効果はないとされているPPI、PCABの処方が数%存在しており、患者背景の詳細を調査し、適正使用につなげることが望まれる。クロピドグレル、ワルファリンと比較して、LDAやDOACはPPIあるいはPCABの消化器保護の必要性が高く、PPIにおいては便秘および下痢の消化器症状の頻度が高いことが示唆された。