[P-097-A] 一般用医薬品(PTP包装)の家庭内管理状況に関する実態調査報告および製剤学的評価
【目的】政府によるセルフメディケーションの推進で一般用医薬品(OTC)は国民に広く浸透し身近な存在となったが、一般消費者がもつ医薬品情報の知識は乏しく、自宅での保管状況は明らかにされてない。今回、消費者がOTCを購入後家庭でどのように保管し、どの程度の期間使い続けているのかの実態調査及び安定性試験を実施したので報告する。【方法】1)2022年10月~2023年6月にココカラファイン魚住店にてPTP包装のOTCを購入し、同意を得られた消費者を対象に「OTCの家庭内管理状況」に関するアンケート調査を無記名聞き取り方式で実施した。倫理審査済 2)恒温恒湿器を用い、本邦の夏季の気候条件を想定した25℃70%RH(RH;相対湿度)及び30℃80%RHの条件下でPTP状態の錠剤(9種)を2ヶ月間保存し、錠剤の重量及び硬度変化を経時的に測定した。【結果】1)回答は年齢層の異なる計61名から得た。OTCを定期的に購入している消費者は約51%であった。普段常備しているOTCは2種類が最頻度で品目別では解熱鎮痛薬、胃腸薬が上位を占めた。OTCの保管場所はリビング、キッチンが多かった。引き出しや収納ケースに保管している方は37名と多かった。光、温度、湿度を意識して保管している方は約36%であった。使用期限を意識して保管している方は約80%であった。普段OTCを購入後使用期限内で使用していると回答した方は約70%であった。2)錠剤の重量及び硬度は両条件下でコントロール群と比して約5種類で有意差を認めた(p<0.05)。【考察】本調査から、外箱や添付文書に記載の注意喚起を遵守していない消費者が一定数存在することが明らかとなった。中でも、湿度や温度に配慮して保管している方は36%と少なく、製剤試験の結果からOTCの適正使用に向けた薬剤師らによる説明の必要性が示唆された。以上より薬剤師から消費者に保管方法や使用期限に関する情報提供を積極的に行うことで適正使用に向けた意識づけが必要と考える。