[P-098-B] 骨粗鬆症治療薬の併用薬解析による選択因子の抽出
【目的】骨粗鬆症は加齢だけでなく、糖尿病、慢性腎臓病などの疾患,薬剤など様々な要因によって引き起こされる。また、骨粗鬆症には骨吸収、骨形成の2面からの異なる作用の治療薬は多様であり、何らかの因子によって、一定の選択基準が抽出できれば、臨床上、有用である。そこで今回、骨粗鬆症治療薬の処方選択基準を検討する。【方法】2013年1月から2023年8月 までの調剤薬局処方データ3527名から経口投与薬のビスホスホネート製剤(BP)208名、サイアザイド系利尿薬4.3%、ループ系利尿薬15.4%(p<0.001)、活性型ビタミンD3製剤(VD)398名、 サイアザイド系5.8%、ループ系17.6%(p<0001)、BP+VDでサイアザイド系2.3%、ループ系18.6%(p<0.001)と全ての群でループ系利尿薬の併用率が有意に高いことが示された。メトホルミン併用率は、BP4.3%、VD1.0%、BP+VD3.9%でBPの併用率が高いことが示された。(p=0.022)また、αグルコシダーゼ阻害薬の併用率もBP3.4%、VD0.8%、BP+VD0%であり、BPの処方が有意に高いことが示された。(p=0.011)また、他の糖尿病治療薬、COPD治療薬、抗うつ薬、スタチン製剤、β遮断薬の併用率は有意差を示さなかった。【考察】ステロイド薬、ループ系利尿薬は骨粗鬆症誘発による骨折リスクが高く、骨折予防効果が高いBPが併用されていた。細胞の石灰化能を促進して骨量増加に作用するメトホルミンは腎機能低下患者の蓄積性の少ないBPが有意に併用されていることが示唆された。これらの薬剤を服用中あるいは服用歴がある場合の骨粗鬆症治療薬はBP製剤の選択が有用であると考えられる。