第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-100-A] 在宅患者におけるMCSを用いた医療連携と処方介入の1例

渡邊 雅史 ((株)名北調剤 コスモス調剤薬局 愛知学院大学歯学部附属病院前店)

【はじめに】高齢化による在宅医療ニーズの拡大によって薬局薬剤師が在宅医療に関わる機会が増えている一方で、薬剤師として多職種との密接な連携や情報共有、円滑で質の高い情報提供が求められる。従来では、電話やFAXを用いて情報共有をしていたが、多職種連携をより円滑に行うため「メディカルケアステーション(MCS)」という病院、薬局、介護施設などで働く医療介護従事者をサポートする非公開型医療介護連携コミュニケーションツールを導入した。その中で多職種連携を通して処方介入に至った症例について報告する。
【症例】70歳台女性。うつ病にてバルプロ酸Na錠、炭酸Li服用中。下肢痛、発熱あり近医受診し入院。退院後、ADL向上・リハビリ目的にて在宅移行となり当薬局が介入を開始した。訪問時に眠気の訴えがあり、服用状況を報告。医師と用法用量を相談し、バルプロ酸Na錠は削除となった。その後の経過は問題なかったが、気分不快、血圧低下あり緊急往診。採血結果よりScrが3.18mg/dLまで上昇、経口摂取不良から急性腎不全に至ったと考えられた。この際の訪問時に患者状態を確認し、炭酸Liの減量もしくは中止を提案した。処方提案に対して医師より返答があり、Li中毒を懸念し処方削除、副作用回避に繋がった。
【考察】以上のように、MCSを用いて患者の治療方針や緊急時の応対、多職種の意見を交換し合い患者のためにより良い介入を行うことができた。電話やFAXでのやり取りだけでは不十分な情報共有や時間の手間を軽減することにも繋がったと考えられる。双方のニーズや考えを摺り合わせること、コミュニケーションを積極的に取れること、やり取りも簡便で記録も残せること、薬物治療に対して経時的な状況把握を行えるなど今後業務がICT化していく中で薬局薬剤師として在宅業務を効率的に行うためにも、MCSを活用することが薬の専門家として医療・多職種連携への貢献、薬局の質的向上に重要であると考える。