第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-104-B] 高齢者施設の医療において、治療支援および未病対策の推奨を図ることを通じて、医師の負担を軽減した薬剤師の取り組み

本田 絹江 (クオール(株)クオール薬局幸手中央店)

【目的】
埼玉県では人口当たりの医師数が全国最下位であり、医師の負担が増大している。医療が必要な高齢者を受入れる高齢者施設の担当医師についても例外ではない。薬剤師が医師へ薬学的情報提供や処方提案することで、医師の負担軽減および治療アウトカムの改善に寄与できるか検証するため、当薬局の事例を調査することとした。
【方法】
薬剤師が医師の診察に同行している施設入居者35人を対象とし、薬剤服用歴等を用いて、薬剤無効例への処方提案、副作用回避のための情報提供、薬剤変更の提案・疾病予防の指導等の実績を調査した。本研究はクオール倫理審査委員会(QOL第067号)で承認され、患者同意も得た。
【結果】
医師の負担軽減および治療アウトカムの改善に寄与した事例は以下の通りであった。
事例1 ナフトピジル服用も残尿感等を訴える腎機能低下の男性に関し、薬剤師がガイドライン・文献、その要約、検査値を基に、デュタステリド、タダラフィル(低用量)を追加提案し、症状が軽快した。
事例2 ビスホスホネート製剤の長期使用患者に関し、副作用文献、その要約、ガイドライン情報を提供し、専門外来の受診を提案した。検査後、リスクと利益の検討があり、治療中止となった。
事例3 胃瘻周囲の皮膚炎患者に対し、発生原因を看護師から聞き取り、症状観察し、処方変更を提案した。変更後は症状が軽快した。また、薬剤師は看護師に対して、胃瘻固定と皮膚洗浄方法を指導し、市販の保護剤を紹介し、皮膚炎に関する未病対策が実現した。
【考察】
薬剤師が積極的に治療支援することで、医師の負担の軽減と治療アウトカムの改善に寄与した事例を確認した。医師からは診断情報収集の負担軽減に感謝の言葉があり、薬剤師側の見解を求められる信頼関係が構築できた。看護師からは予防方法の相談を受けるようになった。当該事例を通して、薬剤師が積極的に施設チーム医療に関与することの重要性を見いだせる。