第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-105-C] 薬局管理栄養士が患者宅へ訪問することにより、地域包括ケアシステム推進の一助となった事例

大迫 成美1, 森松 智之1, 熊本 真希2 (1.I&H(株)HDP担当本部 兵庫中央エリア, 2.阪神調剤薬局 魚崎南町店)

【目的】
現在、日本は超高齢社会に突入しており今後も高齢化は進行することが予想されている。そのため、厚生労働省は2025年を目途に自宅や住み慣れた地域において、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進している。
今回、薬局管理栄養士が上記システムの一員として在宅療養者の栄養状態を把握し、病状や生活に合わせた食事提案を行うことにより、栄養状態の悪化を防ぎ、地域包括ケアシステム推進の一助となった1症例を報告する。
【症例】
80代女性、独居、要支援1、既往歴は3年前に脳梗塞。現在は自宅で訪問診療2回/月、訪問看護2回/月、ヘルパー1回/週、デイサービス1回/週、薬局2回/月の支援体制で生活をしている。担当医師の現在の生活を維持するという治療方針のもと、半年間の期間で薬局管理栄養士が自宅に計21回訪問し、BMI、簡易栄養状態評価(MNA)、水分摂取量調査(NA2)を用いて栄養状態の評価と健康・食事に関する情報提供を行った。
結果、BMI値は初回19.7から大きな変動は見られず、体重は維持された。MNAにおける低栄養状態指標スコアは初回から3.5ポイント増加。NA2調査における水分摂取量は初回から520ml/日増加した。さらに、傷んでいる食材の破棄や期限切れ食材の管理を定期的に行ったことで、食中毒や病気の悪化を未然に防ぎ、医師の治療方針を遂行することができた。
【考察】
今回、地域包括ケアシステムの一員として地域住民の身近な存在である薬局管理栄養士が定期的に在宅訪問し、対象者に適した支援を行うことで栄養状態の悪化を防ぐことができた。今後は対象者が可能な限り住み慣れた地域で生活が送れるよう、薬局管理栄養士が対象者の栄養・食生活状況を多職種、他機関へ積極的に情報共有することにより、地域包括ケアシステムの推進に関与していきたい。