第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-108-C] 薬剤師が在宅介入したことで服薬アドヒアランスが向上し減薬に至った事例

小川 俊1, 山口 典久2 (1.I&H(株) 阪神調剤薬局 深谷店, 2.I&H(株) 東関東エリア 第一ブロック)

【目的】
 慢性疾患を持つ高齢者は、複数の薬剤を同時に服用することが多く、さらには認知症や記憶障害を抱えるケースもあるため、正確な服薬が難しいことがある。本薬局において薬剤師が在宅介入を行うことによって、服薬状況および症状の改善に成功した症例を報告する。
【症例】
 患者は80歳代女性、家族と同居中、手段的ADL低下・基本的ADL自立。現病歴は2型糖尿病、骨粗鬆症。内服薬は糖尿病治療薬がエクメット配合錠HD®、グリメピリド錠1mg、 他の治療薬が4種類。20XX年X月、看護師よりヘモグロビンA1c(以下、HbA1c)の上昇(8.1%)および受診不良について相談があった。患者に居宅療養管理指導について説明を行い、在宅介入を行った。受診間隔よりアドヒアランス不良が推察されたため、一包化に日付印字を行い患者に服用日を意識させると共に飲み忘れ発生日を薬剤師が把握できるようにした。また、患者と相談の上、お薬カレンダーを食事台の直ぐ横に設置して一包化薬をセットした。
 その結果、20XX年X+2月までに残薬はなく、全て服用していることが確認できた。それに伴い20XX年X+2月にHbA1cが6.6%まで低下した。低血糖リスクを考慮して、お薬カレンダーに低血糖症状と対応方法を示した用紙及びブドウ糖を貼付した。その後、20XX年X+4月にグリメピリド錠1mgは中止となった。20XX+1年X月においてもHbA1cは6.2%と良好な値を維持している。
 患者からは自身及び家族が薬の飲み忘れがないか気にするようになった旨の発言があった。
【考察】
 本報告は受診間隔不良の在宅介入を行ったことにより、服薬アドヒアランスが向上し、症状改善に伴い減薬に繋がったと考えられる。受診間隔不良の患者は服薬アドヒアランスが低下している可能性があるため、在宅介入も含めた積極的な対応は薬物療法の効果を高めることが示唆された。