第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 1:40 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-109-A] 透析患者への残薬調整による医療費削減効果の調査

小松原 聖史, 戸梶 晃汰 ((株)フロンティア フロンティア薬局 鶴ヶ岱店)

[目的] 昨今、医療費増大が問題視される中、厚生労働省によると年間500億円分の残薬が発生していると言われている。H27年度厚生労働省科学特別研究「医療保険財政への残薬の影響とその解消方法に関する研究(中間報告)」では、薬剤師が積極的に介入した場合、年数百億の医療費削減効果が期待されている。そこで、当薬局ではA病院の透析カンファレンスに毎月参加しているため、透析患者に着目して残薬調整による医療費削減効果を調査した。
[方法] 2022年4月~2024年3月に来局したA病院で透析を行っている患者に残薬を持参してもらい、数量と残薬発生理由を調査、残薬解消の提案をトレーシングレポート(TR)で医師に報告、次回処方で調節してもらうこととし、TRを提出した医薬品及び残薬調整できた医薬品の品目、数量、金額を集計した。残薬調整は使用期限内で変色や破損等無いものを対象とし、金額は回収年の薬価より算出した。
[結果]期間中の対象患者は144名、残薬回収したのは29名であった。回収数量10,872錠、金額501,265.8円、残薬調整数量10,196錠、金額454,447.6円であり、残薬の上位品目はいずれも高リン血症治療薬がしめた。残薬発生理由は飲み忘れ16名、食生活と用法の不一致9名が上位を占め、TR提出に伴い服薬情報提供料2を29回算定した。残薬解消への介入として、一包化提案4名、用法変更提案6名(両方実施した患者2名)を行ったが、提案に至らなかった患者が21名いた。提案に至らなかった理由としては、既に一包化しているが飲み忘れがある7名、調節服用の為用法変更希望なし7名が上位を占めた。
[考察]積極的に残薬を把握し、調整を行うことで、医療費削減に貢献できたと考える。こうした残薬が発生するのは、透析患者は同一処方の継続が多く、食生活と用法が合っていないことが要因と考える。今回の研究では、処方提案に至らなかった症例もあるため、今後はさらに積極的な処方提案を実施していきたい。