第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-111-C] 薬剤師による在宅医療における薬学的介入と医療経済効果

舞中 誠1, 丸一 泰雅2, 松本 孝亮3, 阿部 裕大4, 永井 将義5, 島貫 英二6 (1.クオール(株)クオール薬局知多日長台店, 2.北陸クオール(株) 若葉らいふ薬局, 3.(株)ニチホス のぞみ薬局岸部店, 4.(株)共栄堂 共栄堂薬局亀田大月店, 5.(株)アルファーム アルファーム薬局一の沢店, 6.クオール(株)クオールアカデミー・教育研修本部)

【目的】2023年第17回学術総会で、クオール(株)の2017~2021年5年間のプレアボイド報告において医療経済効果が5億7千万円と推算したことを発表した。今回は在宅医療に焦点を当て、疑義照会および処方提案の実施状況を調査し、薬学的管理業務の実績とその医療経済効果を検証した。
【方法】クオールホールディングス(株)グループ会社の薬局を対象に協力薬局を募集し、2023年4月1日~8月31日の5カ月間における介入事例について後ろ向き調査を行った。調査項目には薬剤師情報、医療機関情報、患者情報、介入の機会、介入のきっかけ、薬学関連の問題、介入結果、臨床的アウトカム、患者の状態変化、介入前後の処方内容を含んだ。医療経済効果の推算には、副作用に関する介入は竹内らの基準、がん終末期在宅医療への介入は金らの研究結果を使用した。
【結果】協力薬局24軒から計84件の報告があり、そのうち74件が個人宅の事例であった。各項目で最も多かった内容は、介入の機会は「訪問指導時」、薬学関連の問題は「アドヒアランス」、臨床的アウトカムは「治療効果の向上」、介入後の患者の状況は「変化なし」だった。医療経済効果は、副作用に関する介入で476万円、がん終末期在宅医療への介入で373万円、合計849万円と推算された。がん終末期在宅医療への介入14件、うち9件が医療用麻薬の処方設計に関連するものだった。
【考察】今回の調査では、24薬局による5カ月間で84件の報告があり、竹内ら(283薬局、1年間、1,501件)の報告頻度を上回った。在宅医療は外来治療と比較して、関係する医療・介護従事者からの情報もあることがプラスに影響したと考えた。また、医療経済効果も849万円と推算され、在宅医療における薬剤師の機能の価値が示唆された。本研究の限界としては、調査対象が24薬局であること、がん終末期在宅医療の経済効果基準の適用が完全でないこと、介護保険費用が検討外になっていることがある。