第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:00 PM - 1:40 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-118-A] かかりつけ薬剤師として、電話フォローアップとトレーシングレポートを通して約5年間継続支援した進行再発乳がん患者の一症例

林 美和1,2, 富永 由美1,2,3, 大森 由子1,2 (1.千里プラス薬局, 2.ネオプラスファーマ(株), 3.虹薬局南千里店)

【目的】かかりつけ薬剤師ががん患者を長期にわたりフォローアップする事で得られる効果について考察する。
【事例紹介】79歳女性。進行再発乳がん(ホルモン+、HER2-)糖尿病、高血圧、人工膝関節置換術等の既往あり。乳腺外科のほか、内科、整形外科も受診しており、かかりつけ薬局として10年以上当薬局を利用している。5年前よりがん薬物療法として、アベマシクリブ療法、カペシタビン療法、エリブリン療法、パクリタキセル+ベバシズマブ療法を順次行ってきた。現在はビノレルビン療法を継続中である。毎週外来での化学剤治療の3日後に電話フォローアップを実施し、患者の治療継続を支援した。
【結果】カリウム値の上昇により治療困難となった際には、食事療法を指導することでカリウム値が改善し治療再開に繋がった。副作用の便秘悪化に対しては、下剤の服薬指導や効果についての聞き取りを行った。フォローアップ内容は必要に応じて、トレーシングレポートを用いて病院薬剤部へ報告した。患者からエリブリン療法による末梢神経障害の兆候を聞き取った際には、患者の服用負担を軽減するための一包化や、デュロキセチンカプセルの処方を提案し、チーム医療の一員として本療法を支援した。
【考察】電話での対話を重ねる毎に、患者は些細なことまで相談してくれるようになった。「乳がんの治療は、もう何回目かだけど、まだもう少し生きたい」と話す患者に対して、がん治療に対する患者の不安に寄り添い、副作用をできるだけ軽減しながら治療継続できるよう支援した。また、トレーシングレポートの報告に対する病院薬剤師からの丁寧な回答から、治療意図に沿った服薬指導を実施することができた。病院薬剤師と薬局薬剤師が情報共有し、些細な体調変化をいち早く察知し、がん患者の適切な薬物療法の継続に寄与できた症例である。