[P-121-A] 外来化学療法における薬薬連携の実態調査
【目的】近年、外来化学療法を実施する病院では、化学療法のレジメン・副作用評価を封書にした「外来化学療法情報提供書」を患者に渡し薬局に情報提供を行う薬薬連携を積極的に推進している。しかしながら、応需した薬局から病院へ適切に情報を提供せず連携しないことも多い。今回、薬局薬剤師を対象に情報提供の実情・問題点を調査し、その結果を病院薬剤師に伝え改善策を検討することを目的とした。
【方法】静岡市の一医療機関(総合病院)から外来化学療法情報提供書を応需している当社薬局6店舗にてアンケートを実施し、回答を得た30件の症例を解析対象とした。
【結果】薬局から病院への情報提供は20件と67%にとどまった。これは応需全薬局の提供率と近しい。20件のうち副作用関連が70%、変化なしという情報提供は25%の5件であった。情報提供を行わなかった10件のうち、最も多かった理由は副作用がなく情報提供の必要性を感じないで70%を占めた。繁忙による未対応は0%であった。
この結果を病院薬剤師に伝えたところ、副作用や変化に関する情報は治療継続の可否に重要であり、薬局薬剤師からのアセスメントは嬉しいとの意見が聞けた。
【考察】薬局薬剤師が提供の必要性を感じていない副作用や変化のない患者情報は病院では治療継続を判断する有益な情報であり認識違いが認められたため、情報の必要性について擦り合わせが必要と考えられる。薬局は治療上有益な情報を提供しようとする意思が強く変化に着目しがちであるが、生活の中の患者と接する薬局薬剤師は食事や睡眠、仕事などの生活状況、OTC医薬品や健康食品の購入使用情報の積極的な提供、副作用対応への具体的な提案、薬物治療へのアセスメントを記載することで提供率の向上につながると考えられる。また、心理的な壁になっている病院への遠慮は認識の差を埋めることにより解消され、患者にとって安全で有効な化学療法にさらに寄与できると考えられる。