[P-123-C] 施設入所中の高齢患者に発現した薬剤性せん妄の改善に向けた薬局薬剤師の介入事例
【目的】せん妄は、一時的な意識障害や認知機能の低下などが生じる精神状態であり、リスク因子として高齢者、認知症患者、ベンゾジアゼピン系睡眠薬(以下、BZ)の服用などが関与する。そのため、薬局薬剤師には患者特性に合わせてせん妄を回避・早期発見できる薬学的介入が求められる。今回、高齢の施設患者に発現した認知機能低下とBZ に起因するせん妄の改善にむけた薬局薬剤師の介入事例から、薬局薬剤師の果たすべき役割を考察する。
【症例】90歳代女性の施設入所患者から「電話の途中で何を話していたのか分からなくなる」等と聴取し、介護スタッフからは「認知機能の低下が感じられる」と報告を受けた。そこで、アルツハイマー型認知症の短期記憶障害が現れた可能性を薬局薬剤師が医師に報告し、治療方針が再検討された。約3ヶ月後に夜間の妄想が発生し、その2週後には妄想内容の過激化や夜間コールの増加などが発生して状態が悪化していると看護師から情報共有を受けた。薬局薬剤師は、継続服用中のブロチゾラム0.125mg/日によるせん妄を疑い、医師にレンボレキサントへの切替を提案した。2週間のブロチゾラム0.125mg/日、レンボレキサント2.5mg/日の併用服用を経て、不眠症状や副作用がないことを確認した上でブロチゾラムが中止された。その後、夜間妄想は治まったものの中途覚醒が見られたため、4週間後にレンボレキサントが5mg/日に増量され、中途覚醒も改善した。
【考察】本症例では、認知機能の低下が見られた高齢患者に関して多職種から共有された情報から、薬局薬剤師がBZによるせん妄の発現を疑い、医師と連携したことでせん妄の改善に貢献できた。今後も薬局薬剤師は、認知機能に悪影響を及ぼすBZを他睡眠薬に切替える提案を積極的に実施するだけでなく、BZ服用中の高齢患者に対するせん妄リスクを常に考慮して早期対応に向けた多職種連携に努めることも必要と考える。
【症例】90歳代女性の施設入所患者から「電話の途中で何を話していたのか分からなくなる」等と聴取し、介護スタッフからは「認知機能の低下が感じられる」と報告を受けた。そこで、アルツハイマー型認知症の短期記憶障害が現れた可能性を薬局薬剤師が医師に報告し、治療方針が再検討された。約3ヶ月後に夜間の妄想が発生し、その2週後には妄想内容の過激化や夜間コールの増加などが発生して状態が悪化していると看護師から情報共有を受けた。薬局薬剤師は、継続服用中のブロチゾラム0.125mg/日によるせん妄を疑い、医師にレンボレキサントへの切替を提案した。2週間のブロチゾラム0.125mg/日、レンボレキサント2.5mg/日の併用服用を経て、不眠症状や副作用がないことを確認した上でブロチゾラムが中止された。その後、夜間妄想は治まったものの中途覚醒が見られたため、4週間後にレンボレキサントが5mg/日に増量され、中途覚醒も改善した。
【考察】本症例では、認知機能の低下が見られた高齢患者に関して多職種から共有された情報から、薬局薬剤師がBZによるせん妄の発現を疑い、医師と連携したことでせん妄の改善に貢献できた。今後も薬局薬剤師は、認知機能に悪影響を及ぼすBZを他睡眠薬に切替える提案を積極的に実施するだけでなく、BZ服用中の高齢患者に対するせん妄リスクを常に考慮して早期対応に向けた多職種連携に努めることも必要と考える。