第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

Sun. Nov 3, 2024 2:50 PM - 3:20 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-129-C] 薬局薬剤師が認知症の早期発見と服薬アドヒアランスの介入により、血圧管理に寄与した症例

伊藤 明日香1, 高橋 希1, 深澤 友美1, 清塚 千夏2 (1.クラフト(株)さくら薬局藤が丘店, 2.さくら薬局グループ クラフト(株))

【患者情報】70歳代、男性。妻と2人暮らし。高血圧症、便秘症。
【目的】薬局薬剤師が家族から相談を受けて認知症の早期発見に寄与し、服薬支援をすることで血圧管理が改善したため報告する。
【介入および結果】2022年1月、転倒後から言動が普段と異なり、物忘れが多いと患者の妻より相談を受けた。認知症を疑い専門医へ受診勧奨し、血管性認知症およびアルツハイマー型認知症と診断され、ガランタミンOD錠8mg/日の処方が開始となった。以前より降圧剤2種が処方されていたが、ほぼ服薬しておらず血圧160/95mmHg前後で推移していた。転倒歴があるため、降圧剤の服用状況、血圧経過を見極めることが必要と考え、2022年5月より在宅訪問を開始した。一包化、カレンダーへのセットにて服薬意識が高まり、1日2回の服用のうち少なくとも1日1回は服用するようになり血圧は140/80mmHgまで低下した。血圧低下傾向であること、服薬アドヒアランスを鑑み、ガランタミンOD錠をドネペジル錠へ変更、および降圧剤2種を1錠分1へ変更を処方医に提案した。2023年1月、自宅内で転倒。収縮期血圧が100mmHgと低かったため、降圧剤1種が中止となった。また、外出先で帰宅困難になることがあったので行政の認知症患者へのサポートシステムを紹介した。
【考察】認知症疾患診療ガイドラインでは認知症を合併した高血圧患者に対する降圧治療の効果に関するエビデンスは少ないが、降圧治療は考慮すべきとあり、認知症への影響が考えられるため血圧管理は重要である。服薬アドヒアランスは改善されたが、未だ5割程度しか服用しておらず、服薬状況が安定しない。看護師と血圧経過や服薬状況を共有しながら、今後は降圧剤の減量や用法変更の提案も視野に入れ対応する。また、認知症高齢者安心ネットワークへ登録したことで帰宅困難の回数は減り、介護者の負担軽減に貢献できた。