第18回日本薬局学会学術総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-137-B] 保険薬局の管理栄養士による継続した栄養相談で体重増量に至った事例

藤本 音色1, 山口 真奈2, 前田 有輝2, 篠原 佳子1 (1.I&H(株)阪神調剤薬局宝塚南店, 2.HDP担当本部東兵庫エリア)

【背景】一次予防とは健康増進や原因の対策を行うことであり、健康寿命を延ばす為に重要とされている。一次予防の取り組みとして栄養相談会の開催があるが、栄養相談では基礎疾患がある方の相談がほとんどである。本症例では、管理栄養士が基礎疾患のない低体重患者に個別指導を継続的に行い、体重増量に至った事例を報告する。
【症例】50代女性。投薬時(200X年1月)に薬剤師へ相談があり、「食べられるものが限られていて、体重が減っていることへの不安」から栄養相談に繋がった。基礎疾患はなく、10年前より体重が約6kg減少している。患者は胃腸が弱いことから、お腹を壊しやすく下痢の症状もあった。初回栄養相談時(200X年2月)では体重39kg、BMI14.9kg/m2より、低体重であることから、体重増加を目的に栄養相談を9ヶ月継続した。介入前は食事状況より、概算で1日の摂取エネルギー2029kcal、たんぱく質112.4g(22.2%)、脂質63.7g(28.3%)、炭水化物268.8g(53.0%)であった。栄養相談では患者の体質や考えを尊重しながら食事指導を行い、方法として体重の変化を可視化できるシート等を使用した。介入後(200X年11月)は1日の摂取エネルギー2014kcal、たんぱく質94.7g(18.8%)、脂質43.7g(19.5%)、炭水化物330.8g(65.7%)であった。介入前と比較して、炭水化物の割合が増加した。また、胃もたれの回数も減り、下痢に関しては期間が短くなり症状が少し改善された。結果、栄養相談介入後は体重43kg、BMI16.4kg/m2と9ヶ月で4kgの増量に繋がった。
【考察】薬局管理栄養士が個別指導を継続的に行うことで体重増量に至った事例である。基礎疾患がない場合でも予防医療として適切な食事や生活習慣の改善は必要不可欠である為、予防医療の観点から管理栄養士の介入が重要であることが示唆された。現状、基礎疾患のある方の栄養相談が多い為、今後は健康寿命を延ばす為にも予防医療の大切さを啓蒙していきたい。