第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-143-B] とろみ剤の検証「嚥下困難者でも美味しく飲食するために」

壬生 美咲, 戸田 ちさと, 水野 芳宏, 鈴木 すみれ, 小田桐 慶 ((株)なの花東北 事業部)

【目的】なの花東北では在宅患者の栄養介入の機会が増え、誤嚥防止のとろみ剤を利用した食事の相談も今後増加が考えられる。とろみ剤の特徴を調べて薬剤師と共有し、患者や介助者への指導に活かすことを目的とした。
【方法】5種のメーカーのとろみ剤において、中間粘度になる量(以下、規定量)を12種の市販飲料と混合し、とろみの強さや飲料ごとの違いを比較した。炭酸飲料用とろみ剤1種の冷却温度と冷却時間によるとろみのつき方を調査した。
2024年1月13日、20日にとろみ剤の社内試飲会を開催し、アンケートを実施した。
【結果】同じ規定量でも、メーカーによってとろみの強さが違った。とろみはつかないとされるアルコール飲料でもゆるやかなとろみはついたため、これはアルコール度数などの飲料の条件や手技によるものだと分かった。炭酸用とろみ剤は規定の冷却時間の不足と冷却の温度の不足、どちらの条件でも激しく吹きこぼれ、とろみはついても炭酸は早く抜けることが分かった。
試飲会では飲料別の試飲で、味や風味が濃いものが飲みやすいということを共有できた。参加した5人からアンケートを回収し、飲料によってのとろみの差に驚く人が多く、指導に活かすことができるという感想があった。今後希望するとろみ剤研修の内容として、食事のとろみのつけ方や患者への販促の仕方が挙がった。
【考察】複数のメーカーのとろみ剤を試すことでそれぞれの違いを把握でき、患者のニーズに応じた選別が可能になったと考えられる。とろみをつけたものは味や風味の濃いものが飲みやすいという意見が多く、その場合血糖や血圧などに影響が出る可能性があるため、意識して栄養指導をしていきたい。試飲会前はとろみ剤の知識があまりないと回答した人に対して、研修を通じて関心を高めることができた。次はとろみ剤と食事の研修を行うことで指導の質をより向上させ、患者の「美味しい」を保ち、QOLを高めたい。