第18回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

Sun. Nov 3, 2024 1:50 PM - 2:30 PM ポスター会場 (5階 501+502)

[P-146-B] 薬剤師から調剤事務員への対物業務のタスクシフトに対する課題と対応策

清家 歩1, 黒田 明1, 中藤 祐奈2, 松尾 宗一郎3, 青山 晴香4, 邑瀬 誠3, 深津 英人5, 松井 洸5, 山口 浩5, 野村 和彦5 (1.(株)杏林堂薬局 有玉南町店, 2.小松店, 3.調剤営業本部, 4.浜松医大調剤センター, 5.(株)ツルハホールディングス)

【目的】薬剤師は対物業務から対人業務へシフトすることが求められ、薬剤師が対人業務に注力する手段の一つとして、対物業務を調剤事務員(以下「事務員」)へ移管することがあげられる。しかし、事務員の対物業務への抵抗感から業務移管が進んでいない現状がある。そこで、現状の意識調査を行い業務移管が出来ていない背景を探り、移管の妨げとなる要因改善を図ることを目的とする。
【方法】当社79店舗の管理薬剤師とその他薬剤師47名および事務員23名を対象にGoogleformで意識調査を行った。結果を踏まえ、1.ピッキング業務の移管の推進、2.在庫管理として医薬品のフリーロケーション管理と発注手順書の更新、の2点を実施した。発注手順書には冷所品・出荷調整など発注注意品目の区分分けや、発注方法の統一を記載した。また、不足薬発生時、残薬の有無、入荷状況に応じ発注方法を一義的に決定可能なフローチャートも作成した。その後、再度87店舗の管理薬剤師を対象に調査を行った。
【結果】薬剤師30名(63.8%)、事務員12名(52.2%)が業務移管に対して難しさを感じていた。その理由は、事務員の薬剤に対する知識が不足している、やり方が分からないなどであった。ピッキング業務移管の推進および、フリーロケーション管理による医薬品配置の最適化の結果、事務員のピッキング業務実施状況が75%以上と回答した店舗の割合が10.9%増加した。発注手順書の更新により均質に発注業務を行えるようになった結果、在庫管理業務実施状況について、事務員が主体的に行っている店舗の割合が8.1%増加した。
【考察】意識調査から対物業務移管において、心理的障壁になっている点は、薬剤師、事務員共に、事務員の対物業務に対する知識、習熟度の不足であることが示される。この課題解決のため対物業務実施事項と手順を明確にルール化して実施者に関わらず業務の質の均一化を実現することが事務員への対物業務移管の一助になる可能性がある。