[P-147-C] 保険薬局におけるマイナ保険証利用の実態調査と利用率向上のための取り組みの検討
【目的】2024年12月から本格的なマイナ保険証が開始される。ただし薬局では保険証利用率は現状伸び悩んでおり、薬局間でも差がみられる。その一因として、患者への周知方法の差や従業員意識が挙げられる。本研究の目的は、効率的な周知方法を明確化しマイナ保険証利用促進を図ることである。
【方法】杏林堂薬局の保険薬局85店舗において、患者に対しマイナ保険証利用の声掛けを毎回行い、2023年11月から翌年3月までの第3月・火曜日にマイナンバーカード利用率の調査を行った。利用率の上位5店舗(A群)と下位5店舗(B群)に分け、従業員と来局する患者の意識調査を実施した。
【結果】従業員77名(事務員35名、薬剤師42名)から回答が得られ、マイナ保険証利用の声掛けをほぼ毎回行えていると回答したのは事務員24名(68%)、薬剤師21名(50%)であった。一方、患者からは169名から回答が得られ、マイナ保険証所持者157名のうち、薬局でのマイナ利用ありは58名、マイナ利用なしは99名であった。利用なしの理由は持ち歩いていないが52件(AB比6:94)、声掛けされないが26件(AB比0:100)とB群が多かった。A群はマイナ利用なし患者に対し次回持参を促し、B群は行っていなかった。また、メリットを知らないとの回答も79件あり、そのうち、メリットを知り今後利用したいとの回答は57件あった。
【考察】薬剤師と比較して、事務員の方がマイナ保険証利用の声かけをほぼ毎回行えていると回答した割合が高いのは、処方箋応需をする際の対応を事務員が実施する機会が多いことに起因すると推察される。マイナ利用なし理由のAB群の比較結果から、毎回の声掛けは非常に重要と考えられる。更に、メリットを伝えることで利用したいとの回答が半数以上あったことから、声掛け時にPOP活用等でメリットを的確に伝えることも有用であることが示唆される。