第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2024年11月3日(日) 13:00 〜 13:40 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-160-A] ショート動画を用いた薬物治療解説講座の薬剤師に対する有用性の検証

叶 拓也1, 臼井 孝1, 佐藤 英治2, 杉原 成美2, 高根 浩2, 広瀬 雅一2, 猿橋 裕子3 (1.(株)フロンティア, 2.福山大学薬学部, 3.(有)桜台薬局)

【目的】
薬剤師は薬学的管理の実践に向け最新の知識を身に着ける必要があるが、多忙な日常業務の中まとまった学習時間の確保は難しい。そこで短時間で学習できる薬物治療解説講座としてショート動画を作成し、薬局薬剤師にアンケート調査を行い本講座の有用性を検証した。
【方法】  
弊社薬局で勤務する薬剤師299名を対象に、プレアンケート、動画の視聴、視聴後のポストアンケート調査を実施した。動画は1.高血圧の臨床評価、2.高血圧の管理、3.降圧治療の3本とし、3分程度で視聴できるものとした。アンケート並びに動画の視聴は、Office365 Formsを用いた。実施期間は2023年11月13日~2023年11月19日とした。
質問項目は「属性」として年齢、性別、薬剤師の経験年数の3項目、「高血圧治療の知識」として12項目、「動画に関する意見」として、わかりやすさ、ニーズに合っているか、時間が適切か、今後取り上げて欲しい内容の4項目とした。高血圧治療に関する質問はプレおよびポストアンケートで同一にし、動画視聴による正答率の変化はMcNemar検定で解析した。統計学的解析にはEZR(4.1.2)を使用した。
【結果】
アンケート回答率は動画1が86.6%、動画2、3が70.9%であった。動画への意見のうち、分かりやすいとの回答は、動画1が76.4%、動画2が52.8%、動画3が78.8%であった。動画視聴前後の正答率を解析したところ、高血圧の知識に関する12の設問全てで有意な上昇が認められた(P<0.05)。各設問の平均正答率は視聴前50.3%、視聴後76.3%だった。
【考察】
全設問での有意な正答率の上昇は、今回設定した学習内容においてショート動画を用いた講座が知識の向上に寄与することを示唆しており意義深い。各動画について52.8%~78.8%の人がわかりやすいと回答しており動画の教育手段としての効果を示すものの、2.高血圧の管理については約半数がわかりやすいと回答していなかった。今後要因についてさらなる調査が必要である。