[P-162-C] 保険薬局に勤務する薬剤師の口腔ケアに関する認識と患者対応の実態調査
【目的】2023年2月、薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂版において、「口腔ケア」に関する事項が追記される等、口腔ケア領域への薬剤師による介入が期待されている。本研究は保険薬局に勤務する薬剤師に対して、薬剤師自身の口腔ケアに関する認識と口腔ケアに関する患者対応の実態を調査することで、適切な歯薬連携を図ることを目的とする。【方法】調査対象者は株式会社ツルハの保険薬局383店舗に所属する薬剤師で、調査期間は2023年5月30日から6月12日までとした。調査期間に回答があった596件を解析対象とした。調査項目は、薬剤師の基礎特性、自身の口腔ケアに関連する認識、口腔ケアに関して患者へ介入した事例の詳細とした。調査はGoogle formsで回答を依頼した。【結果】歯科医院へ定期受診している薬剤師は260名(47.0%)で、口腔ケアに「興味がある」と回答した薬剤師は496名(83.2%)であった。口腔ケアにどのような知識が必要かを問う設問(複数回答可)では「歯科一般」が563名(94.4%)であった。また、患者から口腔ケアの相談応需の経験がある薬剤師は79名(13.3%)で、その内容は薬剤性の副作用に関するものから在宅における口腔ケアまで多岐に渡った。口腔ケアに関する資材を使用した経験のある薬剤師は51名(8.6%)存在するが、資材の活用に対して否定的な意見を有する薬剤師は107名(18.0%)存在した。【考察】厚生労働省の2019年の調査によれば、歯科へ定期受診する国民は46.8%であり、ほぼ同数の結果となった。薬剤師が医療者として国民よりも口腔ケアに対する意識を高める必要がある。口腔ケアの資材の活用に関しては否定的な意見を有する薬剤師が一定する存在するのは、「歯科一般」への知識の無さに起因する可能性がある。口腔ケア関連商材が多数販売されているドラッグストアの薬剤師として知識を習得し、国民のセルフケアへの足掛かりを作り、薬局から歯科へのプロケアへ繋げる必要がある。