第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-165-C] 地域薬局患者のHealth-related QoL(HRQoL)と慢性疾患の関係および、HRQoL低下の患者属性の探索

豊田 美奈1, 井上 樹1, 堀井 徳光1,2, 吉田 暁1, 高橋 直仁1, 三ヶ田 潤哉1, 武藤 香絵1, 大島 新司1, 井上 直子1,2, 大嶋 繁1,2, 小林 大介1,2 (1.城西大学薬学部, 2.城西大学薬局)

【目的】 Pharmaceutical Careの目標は患者のHRQoLを改善することである。本研究は、定期的に地域薬局を利用する慢性疾患患者の疾患別HRQoLの実態および、HRQoL低下の要因を調査することである。
【方法】 地域薬局を利用する慢性疾患患者1500名にインターネットを用いたアンケートを実施した。HRQoL測定にはEuroQol 5 dimensions 5-levelを用いた。HRQoL値は-0.026から1.00(完全な健康 Full Health)で算出される。患者属性は年齢、性別、罹患慢性疾患、薬剤数(6剤以上か否か)、疾患数(2疾患以上か否か)、治療の重要性認識および疾患の重症度認識の有無を調査した。疾患別にFull Healthに与える患者属性の影響をロジスティック回帰分析で検討した。本研究は城西大学倫理審査委員会の承認を得た (人医倫-2021-19)。利益相反はない。
【結果】 地域薬局患者のHRQoL平均値は0.856であった。各疾患患者数(HRQoL平均値)は高血圧症201人(0.915)、糖尿病127人(0.903)、脂質異常症104人(0.938)、うつ等の心の病気172人(0.743)、アトピー性皮膚炎82人(0.820)および喘息63人(0.893)だった。各疾患群におけるロジスティック回帰分析の結果、高血圧症では、ポリファーマシーがFull Healthの確率を有意に低下される要因であった(オッズ比0.1299、95%信頼区間0.0356~0.4737)。また、糖尿病ではポリファーマシー(オッズ比0.2653、95%信頼区間0.1041~0.6763)、疾患重症度認識があること(オッズ比0.3417、95%信頼区間0.1512~0.7722)がFull Healthの確率を有意に低下させた。
【考察】 地域薬局薬剤師は各種疾患でHRQoL低下に影響する異なる要因を認識したうえで、より効果的なPharmaceutical Careの実践を探索する必要がある。