[P-166-A] NDBオープンデータを用いた低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の処方実態調査
【目的】日本人の月経困難症患者数は800万人、子宮内膜症患者は260万人と推定され、これらの疾患は重症化や不妊を防ぐために早期治療が重要である。治療のひとつに低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(以下LEP)を用いた薬物療法があるが、LEPの処方実態を調査した研究は見受けられない。本研究では、レセプト情報・特定健康診断等情報ベース(以下NDB)オープンデータを用いLEPの処方実態を調査した。
【方法】第8回NDBオープンデータを用い、外来(院外・院内)の性年齢別薬効分類別数量及び都道府県別薬効分類別数量についてLEP製剤ごとに抽出した。抽出した処方数量を各LEP製剤の最短投与日数の錠数で除して処方サイクル数とし、10~59歳女性人口千人当たりの総計を、5歳毎の年代別、都道府県別でそれぞれ算出した。さらに、都道府県別調査は、産婦人科系診療所数/10万人、薬局数/10万人、県民所得/人、生活保護受給者数/千人、高校生進学率、母子/父子家庭率との相関を調査した。
【結果】年代別の処方サイクル数は25~29歳の676サイクルで最多となった一方、月経困難症の好発年齢である15~19歳、20~24歳でそれぞれ259サイクル、671サイクルだった。都道府県別の処方サイクル数は、東京都で最多の365サイクル、沖縄県で最少の121サイクルと3倍の差が見られた。相関の調査では、産婦人科系診療所数(R=0.24)県民所得(R=0.49)、高校生進学率(R=0.42)で正の相関、母子/父子家庭率(R=-0.50/-0.54)で負の相関があった。
【考察】15~24歳は月経困難症の好発年齢であるが、20~24歳のサイクル数に対して15~19歳のサイクル数は半分以下となっており、受診率が低いことが示唆された。都道府県によって処方サイクル数に差が生じていた因子として、産婦人科系診療所数、県民所得、高校生進学率、母子/父子家庭率が関係すると考えられた。