第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-167-B] 医療用医薬品添付文書の新記載要領「9.3 肝機能障害患者」の項に関する記載内容調査

五十嵐 優, 櫻田 大也, 佐藤 信範 (千葉大学大学院薬学研究院 社会薬学)


【目的】2019年4月1日より医療用医薬品添付文書(以下、添付文書)の新記載要領が適用され、2019年までに発行された添付文書は2024年3月31日迄に新記載要領に基づいた添付文書に置き換わるが、新記載要領について適切な記載がされているかに関する報告は見当たらない。本研究では肝機能障害患者に対する情報が集約される「9.3 肝機能障害患者」の項に着目し、必要な情報が記載されているかを検討した。
【方法】PMDAのHPの「医療用医薬品 情報検索」で閲覧でき、2019/4/1~2023/3/31の期間に情報が更新された添付文書の中で「新記載要領である」、「9.3 肝機能障害患者の項がある」、「先発医薬品である」、「中枢神経系用薬である」の4点を満たしている医療用医薬品を対象とした。新記載要領に沿っているかについて具体的な根拠の有無、肝機能障害患者の程度に関する記載の有無、他の項目との関連を調査した。
【結果】対象となった添付文書は179件であった。新記載要領に沿っているかについて具体的な根拠があるものが147件(82.1%)、肝機能障害の程度の記載があるものが105件(58.7%)、他項目への参照があるものが119件(66.5%)、これら3点を全て満たしているものが92件(51.4%)であった。
【考察】「9.3 肝機能障害患者」の項がある医療用医薬品のうち必要な情報が記載されているものは約半数に留まった。さらに、具体的な根拠として肝機能障害患者の薬物動態について記載がある場合でも、曖昧な表現のみのものや一部の患者にのみ言及されているものが多く、これらの添付文書は臨床現場で活用するための情報として十分ではないと考えられる。