第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2024年11月3日(日) 13:50 〜 14:30 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-170-B] 神奈川県の在宅医療における薬局機能に関する研究

中満 結友, 田口 真穂, 清水 彌椰, 菅原 里乃彩, 舟木 夕貴, 宮本 龍成, 山田 博章, 小出 彰宏 (横浜薬科大学 レギュラトリーサイエンス研究室)

【目的】わが国は超高齢化社会を迎え、2040年の年間死亡数は約168万人と推計されている。医療機関の病床削減が進む中、多死社会の課題の一つに「在宅死」が挙げられている。人生の最期を迎えたい場所として約6割の国民が自宅を希望している一方で、自宅死亡割合は17.2%となっており、今後自宅看取りの増加が見込まれている。地域薬局においては終末期医療の増加に備えて更なる在宅医療体制の充実が求められている。本研究では、在宅に関する薬局機能整備状況について検討した。
【方法】2023年の薬局機能情報のうち、当該年度の情報更新又は調剤実施実績がない薬局を除外し、3,608件(有効率86.4%)を解析した。「居宅等での調剤業務の実施」の標榜を「在宅対応」とした。施設基準は地方厚生局の届出状況を用いた。
【結果】地域連携薬局は397件(11.0%)で、調剤基本料3イロハの算定割合が高く、人口密度が高い地域に局在傾向がみられた。全体のうち各項目を満たす薬局割合は、それぞれ、在宅対応は76.4%、自薬局無菌対応は4.9%、他薬局無菌対応(紹介除く)は6.2%、24時間対応は26.9%、麻薬対応は85.3%、健康サポート研修修了薬剤師有は49.3%、退院時情報共有体制有は38.0%、服薬情報提供実績有は75.7%であった。在宅対応薬局2,755件のうち、年間の訪問回数が無い薬局は14.6%、訪問24回以上は52.7%であった。
【考察】神奈川県内の地域連携薬局は、地域包括支援センター(378か所)と概ね同数であったが、地域偏在があり、各日常生活圏域への配置は充分ではないと考えられた。終末期対応や自宅看取りが増える中、無菌調剤の応需体制整備が急務と考えられた。2024年調剤報酬改正で新設された在宅薬学総合体制加算2は、自薬局無菌対応が要件となっており、整備率向上に寄与することが期待される。