第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2024年11月3日(日) 14:50 〜 15:20 ポスター会場 (5階 501+502)

[P-171-C] 医療用医薬品添付文書の新記載要領に関する研究~「妊婦」に関連する記載内容について~

細川 仁菜, 櫻田 大也, 佐藤 信範 (千葉大学大学院薬学研究院 社会薬学)

【目的】
2019年4月より施行の医療用医薬品添付文書(以後、添付文書)新記載要領では「9.5妊婦」の項が新設され、妊婦への使用可否の記載の統一や使用者がリスクを判断できる情報の記載が求められている。本研究では、添付文書中の妊婦に関する情報が新記載要領に則っているかを調査した。
【方法】
調査対象はPMDAのHPの「医療用医薬品情報検索」で閲覧でき、次の5点を満たす医療用医薬品の添付文書とした。「2019年4月1日~2023年2月28日の間に情報が更新されている」、「解熱鎮痛消炎剤、総合感冒剤、抗ヒスタミン剤、その他アレルギー用薬である」、「新記載要領である」、「9.5妊婦の項がある」、「先発医薬品である」。調査は新記載要領に則って、妊婦への使用可否として「投与しないこと」、「投与しないことが望ましい」、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(以後、「有益性投与」)」の3つの分類で記載されていること、使用者がリスクを判断できる情報について胎盤通過性、催奇形性、胎児曝露量、妊娠中の曝露期間、臨床使用経験、代替薬の有無等を考慮した事項、薬理作用等から懸念される影響などの記載の有無とした。
【結果】
調査対象となった96件での使用可否の記載は「投与しないこと」、「投与しないことが望ましい」、「有益性投与」のいずれかに該当した。リスクを判断できる情報は、記載がないものが43件(45%)存在しており、そのうち「有益性投与」に該当するものが36件(84%)存在した。
【考察】
妊婦への使用可否の記載は、新記載要領に則っていると考えられたものの、リスクを判断できる情報については、約半数の添付文書が新記載要領に則ってないことが明らかとなった。さらに、「有益性投与」の記載があるものの、リスクに関する情報の記載がない添付文書も存在しており、このような添付文書においては投与可否を判断する情報としては、十分ではないと考えられた。