[P-173-B] 血糖値改善をうたう健康食品の臨床試験の信頼性に関する検討
【目的】健康食品は健康の維持・増進をうたって販売されている食品であり、その有効性や安全性について薬剤師が相談を受けることもある。そこで本研究は、特に血糖値改善をうたう健康食品に着目し、その臨床試験が有効性や安全性を評価するのに信頼できる情報源となりうるかを明らかにすることを目的とした。
【方法】データベース医学中央雑誌およびPubMedを利用し、2020年と2021年に発行された血糖値改善をうたう健康食品の臨床試験論文を抽出し、臨床試験の形式と内容の評価を行った。形式(論文の記載事項)はカリフォルニア大学で使用されていた臨床試験評価チェック表を参考に記載あり/なしで評価した。また、記載あり/なしで評価できない問題点を抽出し、内容の評価を行った。
【結果】最終的に47報の論文が抽出された。目的、プロトコール、利益相反、評価項目、P値などは90%以上の論文で記載ありだった。一方、脱落者の人数、事前に設定された差が記載された論文は50%未満であった。また、31報の論文で有害事象が確認されていたが、詳細が記載されているものはそのうちの半数以下だった。内容については期間が短い、試験人数が少ない、医薬品では使用されない評価指標が使用されている、組み入れ基準が数値で規定されていない等の論文があった。また、結果に有意差がついたが、その差の臨床的意味について記載がある論文はわずか2報であった。
【考察】計画された臨床試験の条件内では結果は信頼できるものの、長期服用される健康食品の試験としては試験期間が短いものもあり、適切といえないものが含まれる。また、評価指標や結果の臨床的意味について解釈が困難な試験があり、薬剤師が判断するための更なる情報が必要であると考えられる。安全性に関しては詳細に評価されていないものが多く、信頼できる情報源とならない可能性が示唆される。