[SY14-2] 適切な痛みの薬物療法を再考する ~アドヒアランス向上を目指して~
16世紀のフランス王室公式外科医であったアンブロワズ・パレが残した言葉に,「to cure sometimes(治すこと 時々),to relieve often(和らげること しばしば),to comfort always(慰めること いつも)」という「医療者たるものの心得」がある。痛みの医療におけるこの言葉の意味を「侵襲的な治療は必要に応じて,薬物療法はしばしば,患者の痛みの訴えに対する傾聴はいつも」と解釈すると,痛みの薬物療法に重要性を読み解くことができる。
近年,痛みの病態が少しずつ明らかにされると共に病態に応じた薬が使用できるようになり,痛みの薬物療法は大きく進歩している。例えば,非ステロイド性抗炎症薬では投与経路の選択肢が増え,アセトアミノフェンは用量用法が世界基準に改訂され, 鎮痛補助薬としてはCa2+チャネルα2δリガンドや抗うつ薬などが処方できるようになり,さらには,オピオイド鎮痛薬は医療用麻薬に指定されていないトラマドールが使用可能になるなどで,痛みの薬物療法は多様化している。このことは,痛みを訴える患者にとっては,喜ばしきことである。
しかしながら,適切な痛みの薬物療法が実施されていないと思われるケースは少なくない。例えば,痛みの病態に応じた薬が選択されていない,内服が継続されていない,有効量まで増量されていない,漫然と薬が処方あるいは内服されているなどである。また,不適切な薬物療法の結果,ポリファーマシーといった問題により,患者のQOLやADLを低下させてしまっているケースも散見される。適切な痛みの薬物療法を実施する鍵は,内服アドヒアランスの向上であることは,薬剤師の先生方にとっては言うまでもないことである。
本シンポジウムでは,適切な痛みの薬物療法を再考することを目的に,痛みの薬物療法のアドヒアランスについて,患者さんに服薬指導している薬物療法の最前線にいる薬剤師の先生方と共に考えてみたい。
近年,痛みの病態が少しずつ明らかにされると共に病態に応じた薬が使用できるようになり,痛みの薬物療法は大きく進歩している。例えば,非ステロイド性抗炎症薬では投与経路の選択肢が増え,アセトアミノフェンは用量用法が世界基準に改訂され, 鎮痛補助薬としてはCa2+チャネルα2δリガンドや抗うつ薬などが処方できるようになり,さらには,オピオイド鎮痛薬は医療用麻薬に指定されていないトラマドールが使用可能になるなどで,痛みの薬物療法は多様化している。このことは,痛みを訴える患者にとっては,喜ばしきことである。
しかしながら,適切な痛みの薬物療法が実施されていないと思われるケースは少なくない。例えば,痛みの病態に応じた薬が選択されていない,内服が継続されていない,有効量まで増量されていない,漫然と薬が処方あるいは内服されているなどである。また,不適切な薬物療法の結果,ポリファーマシーといった問題により,患者のQOLやADLを低下させてしまっているケースも散見される。適切な痛みの薬物療法を実施する鍵は,内服アドヒアランスの向上であることは,薬剤師の先生方にとっては言うまでもないことである。
本シンポジウムでは,適切な痛みの薬物療法を再考することを目的に,痛みの薬物療法のアドヒアランスについて,患者さんに服薬指導している薬物療法の最前線にいる薬剤師の先生方と共に考えてみたい。