第18回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム2
「住み慣れた地域での生活を最後のその時まで支えるために ~在宅緩和ケアにおける多職種連携で薬剤師が果たすべき役割~」

Sat. Nov 2, 2024 3:30 PM - 5:00 PM 第2会場 (5階 503)

座長兼オーガナイザー:塩川 満(東京女子医科大学病院 薬剤部 薬剤部長)

[SY2-4] 在宅で最期を迎えるがんの終末期患者を支える薬剤師の使命と責任ー5本柱”勇気・やる気・本気・根気・元気”ー

大野 朋子 (株式会社リバーサル 上永谷薬局(在宅緩和ケア対応薬局)薬局長/管理薬剤師)

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 上永谷薬局は、横浜市港南区にあり、地域連携薬局、在宅緩和ケア対応薬局に認証され、外来患者のみならず、在宅で療養中のがんの終末期患者さん(以下、がん患者)の依頼を積極的に応需している。本日は、病状の変化が著しいがん患者に焦点を絞って皆様と一緒に考えたい。2024年4月、在宅(施設を含む)療養中全260名を担当しており、うちがん患者は63人、24.2%であった。また、がん患者に介入開始からご逝去まで、中央値37日 (2 - 347日)であり、在宅での最期の約1ヶ月間は、がん患者だけでなく家族も、がん性疼痛やさまざまな苦痛を抱え、予期せぬ体調の変化を経験し、難しい選択を常に迫られている。特に、日々変化の著しいがん患者の終末期医療においては、多職種連携が重要であり、私たち薬局薬剤師は、疼痛や症状の変化に迅速に対応し、地域の医療を支えるチームの一員として、在宅で最期を迎えるがん患者・家族を支えていく使命と責任がある。また、患者が最期まで本人らしく安心して生活ができるように患者・家族に寄り添い、気持ちに並走することは、残された時間が短いがん患者のACPにも関わる。
 がん患者・家族を支えるためには、医療用麻薬の取り扱いはもちろん、24時間365日の対応、無菌調製設備の完備などが必要となるが、これらを兼ね揃えた薬局に地域のがん患者の対応が集中することは、特定の薬局に業務負荷がかかることに繋がってしまう。一方で、がん末期の患者を担当することは、ハード面、マンパワーなど薬局個々で様々な困難があることも自明の理である。
 在宅緩和ケアにこれからチャレンジする薬局においては、かかりつけの患者ががんに罹患した場合、かかりつけ薬剤師として最期まで関わってみるのは如何だろうか。また、積極的にがん患者を担当している薬局薬剤師と繋がり、情報を得ることも大切であろう。疑問や物品の不足などは、近隣の薬局と繋がることで解決可能である。在宅へがん患者を送り出す病院や積極的にがん患者を応需している薬局は、今後、在宅緩和ケアを行っている薬局を把握し、仲間を増やしたいと切に願っている。是非、勇気を出して手をあげて欲しい。
 港南区では、がん患者の受け入れ可能な薬局を増やす取り組みを始めている。港南区での取り組みについてご紹介したい。始めの一歩を踏み出し、勇気、やる気、本気、根気、元気の5本柱をモットーに、地域を支える同志が増えることを期待している。