第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム5
「薬剤情報DXの導入による新しい薬局の形について考える」

2024年11月2日(土) 13:50 〜 15:20 第5会場 (3階 313+314)

座長:中村 敏明(大阪医科薬科大学 薬学部 臨床薬学教育研究センター 教授) 西 陽一(ウエルシアパートナーズ株式会社 代表取締役社長)

[SY5-4] すずらん薬局グループの医療情報DXへの取組み~これまでと今後~

吉村 元宏 (株式会社ホロン すずらん薬局グループ 薬局支援部 エキスパート(腎臓病薬物療法認定薬剤師)薬剤師)

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 近年、モノからヒトへの流れの中で薬剤師に求められる業務が大きく変わり複雑化してきた。そのような中、膨大な医薬品情報から個々の患者に最適な情報をタイムリーに提供することが求められる。
また、現状では尿・血液検査結果、既往歴と現病歴、院内薬・市販薬等の把握が十分ではなく、医療情報の患者毎個別最適化には業務のDX化、中でも医薬品情報ならびに医療・介護の多職種によるスムーズな連携にも医療DXは不可欠である。
 すずらん薬局グループでは20年前に「重篤な副作用の早期発見システム」、16年前に「疾患別・薬剤別指導せん発行システム」を自社開発することで経験の浅い薬剤師にも気付きを与え全ての薬剤師のレベルの均てん化を目指してきたが、日々更新されていく医療情報の管理やメンテナンスが困難になった。
 その後、AMED研究「患者の自覚症状により副作用の早期発見を可能とする方策に関する研究(望月眞弓)」が当社の開発したシステムに考え方が近く、当該システムを開発した株式会社マディアの薬局向けシステム「マディア・スピーク®」の開発に協力してきた。さらに薬剤師業務のDX化につながる処方カスケード・高齢者注意薬・肝・腎臓注意薬・トリプルワミーの検知機能を提案するなどシステムの構築に関わってきた。
 一方、「疾患別・薬剤別指導せん発行システム」はRMP、添付文書、インタビューホーム、患者向け医薬品ガイド、くすりのしおり、患者啓発資材、各学会のガイドラインなどが常に改訂されており、情報の一元管理のプラットフォームがない現状では新しく変わるものがない。令和6年調剤報酬改定の特定薬剤管理指導加算3にはRMPに基づき情報提供資材を活用した適正使用や安全性等に関する十分な指導を求めている。必要な患者に必要な情報を必要な時に提供できる体制整備にはRMPだけでなく、情報の一元管理のプラットフォームの実現が不可欠でPMDAを中心にくすりの適正使用協議会、日本製薬工業協会、システム開発者、各学会などの連携が望まれる。
 当社では職員の資格取得支援、研修企画等を任務とする薬局支援部があり、その一員として腎臓病薬物療法勉強会やワークショップを実施したり、疾患別ガイドラインの一覧や解説を動画に残しグループウェアで示すことでいつでも勉強できる環境を整えてきた。今後薬局支援部として更に医療情報DXに対応し個別最適化ができる質の高い専門職の育成に努めていきたい。