第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム7
「価値ある保険薬局を目指すために~薬剤師の専門性の今とこれから~」

2024年11月3日(日) 09:00 〜 10:30 第1会場 (1階 メインホール)

座長:恩田 光子(大阪医科薬科大学薬学部 社会薬学・薬局管理学研究室 教授) オーガナイザー:緒方 直美(さくら薬局グループ クラフト株式会社 教育研修部 課長)

[SY7-3] 緩和薬物療法認定薬剤師は高いハードルか?

坂本 岳志 (あけぼのファーマシーグループ 在宅支援室 室長、 緩和薬物療法認定薬剤師)

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 令和6年度の診療報酬改定を見ると、国が在宅医療に重きを置いていることがわかる。特に在宅緩和ケア領域においては、医科・薬科ともにオピオイド注射薬に関する加算や適応拡大、訪問報酬におけるプラス改定など、国が在宅緩和ケアを重視した改定を行ったことは明白である。緩和ケアと言うとどうしてもがん末期患者のみを思い浮かべてしまうが、WHOの定義では生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のクオリティ・オブ・ライフの向上に向けたアプローチであり、心不全や呼吸不全を含む在宅療養を行っている患者全般に適応できる考えである。
 この在宅緩和ケアを牽引する薬剤師の認定資格として日本緩和医療薬学会が認定を行っている緩和薬物療法認定薬剤師があげられる。緩和薬物療法認定薬剤師は2010年より認定を開始している制度であり、がん患者に特化した認定ではあるがその行動や考えはがん患者以外の在宅緩和ケアにも十分に精通すると考える。認定に当たっては緩和薬物療法に関与した症例を提出する必要があるが、その症例を規定数得ることができないとの声がある。また認定を取得してもそのメリットがわからないとの声もあることは事実である。実際薬局薬剤師の取得率は全体の1割程度であり、まだまだその数は少ない状況にある。
 そこで今回、緩和薬物療法認定薬剤師について私の経験を基に必要な資質と技量、そして介入症例を紹介し、緩和薬物療法認定薬剤師の必要性周知と取得に向けた一助となればと考える。