第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム7
「価値ある保険薬局を目指すために~薬剤師の専門性の今とこれから~」

2024年11月3日(日) 09:00 〜 10:30 第1会場 (1階 メインホール)

座長:恩田 光子(大阪医科薬科大学薬学部 社会薬学・薬局管理学研究室 教授) オーガナイザー:緒方 直美(さくら薬局グループ クラフト株式会社 教育研修部 課長)

[SY7-4] 薬剤師の専門性の向上を考える

紀平 哲也 (消費者庁 食品衛生基準審査課長)

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 諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進行する中、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の住まい・医療・介護・予防・生活支援といった支援・サービスが一体的に提供される体制(地域包括ケアシステム)の構築が進められています。その地域包括ケアシステムを支える一員として、薬剤師は、専門とする薬学的観点からその一翼を担う貢献ができると考えられます。
 地域包括ケアシステムにおける薬剤師・薬局の役割として、地域における薬局のあり方が示された「患者のための薬局ビジョン」において、薬剤師には、日頃から患者と継続的に関わることでいつでも気軽に相談できる“かかりつけ”として患者に寄り添うこと、薬局には、そのかかりつけ薬剤師が患者に対して継続して薬歴管理・服薬指導等を実践するための環境を整備することが求められています。
 令和4年度に改訂された「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」においては、「多様な時代の変化や予測困難な出来事に柔軟に対応し、生涯にわたって活躍し、社会のニーズに応える医療人の養成」のために、「医学・歯学・薬学の教育内容の一部共通化」等が行われ、キャッチフレーズとして「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」が記載されています。そのため、現場の薬剤師においても、医療人として医療系他職種や介護職種等と同じ意識で患者に相対すること、その中で薬剤師としての知識やスキルを活用し、その向上を継続していくことが求められます。それに向けて、何を・どう学修するのか、その成果はどう評価されるのか、個々の薬剤師自身が主体的に意識していく必要があると考えます。
 本講演を、薬剤師の専門性の向上の意義やその方策等を考える一助にしていただければと思います。