第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8
「これから求められる専門領域を極めよう!」

2024年11月3日(日) 14:10 〜 15:40 第1会場 (1階 メインホール)

座長:横田 淳子(I&H株式会社 DI室) 平野 統久(株式会社 スギ薬局 人材開発部 医療教育課 課長)

共催:日本くすりと糖尿病学会、日本腎臓病薬物療法学会

[SY8-3] 日本腎臓病薬物療法学会の取り組み

平田 純生1, 2 (1.I&H株式会社 学術顧問 日本腎臓病薬物療法学会 監事, 2.日本腎臓病薬物療法学会 監事)

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1999年に関西腎と薬剤研究会が結成され、徐々に全国に波及し、現在では28の地域の腎と薬剤研究会(腎薬)の仲間が集まり日本腎臓病薬物療法学会(JSNP)の会員数は約2,800名に達している。40歳未満の若手の会(KIDS)も結成され、若手や地域研究会が協力・活性化しながら成長する学会は他に類をみない。
JSNPの使命はCKD患者の薬物療法に関する幅広い教育・研究を行うことによって、医療に貢献することにある。具体的には①腎機能低下患者の中毒性副作用の防止、②薬剤性腎障害の防止、③糖尿病、高血圧、腎炎などの原疾患への薬物適正使用によるCKDの進行予防・心血管合併症の予防、④透析患者への最適な薬物療法の提供などを目標に研究・学習活動を推進している。
腎臓病薬物療法専門薬剤師は現在23名、認定薬剤師は213名である。これらのスペシャリストが主導して薬物療法の適正化に貢献し教育の充実・実践をはかっており、会員であれば無料でe-learningコンテンツが受講可能だ。学術活動の中で、最も臨床に貢献しているものとして「腎機能別投与量一覧データ」があり、定期的にメンテナンスされて学会誌・学会HPに最新の表が掲載され、薬物動態情報も含んだ内容は定期的に学会誌に、そして2,200種以上の薬物データが掲載されたA4サイズ、約500頁の特別号(通称グリーンブック)が2年毎に配布されている。動態データを除いた市販の「腎機能別薬物投与量一覧POCKETBOOK」も学会員に還元すべく無料配布している
診療ガイドラインのパブリックコメントの募集に対してはガイドライン対策・作成委員会が積極的に対応しており、最近では他学会からガイドラインの査読依頼が来るようになり、さらにガイドライン作成委員も任命されるようになった。
薬局会員は737名(27%)と徐々に増加しているものの、高齢者や腎機能低下患者の不適切使用への疑義照会はいまだ適正に実施されていないのが現状である。薬局参画推進委員会が中心になって、いまだ後を絶たない中毒性副作用や薬剤性腎障害を減少する取り組みを行っており、昨年よりCKD患者のSGLT2阻害薬至適使用推進ワーキンググループによって作成された独自の患者指導箋を公開している。JSNPは今後とも各関連学会など多くの方々と協調しながら、腎臓病薬物療法をよりよくするために全力で取り組んでいく所存である。