第18回日本薬局学会学術総会

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シンポジウム

シンポジウム9
「患者主体の薬剤師職能のエビデンス構築に向けて~True endpointは患者の笑顔~」

Sun. Nov 3, 2024 9:00 AM - 10:30 AM 第2会場 (5階 503)

座長兼オーガナイザー:益山 光一(東京薬科大学薬学部 医療薬物薬学科 社会薬学教育センター 薬事関係法規研究室 教授) 原 和夫(株式会社わかば 学術部 部長)

[SY9-2] ポリファーマシー対策から見える薬剤師の可能性~あなたは患者の何をみますか?~

溝神 文博1, 2 (1.国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 薬剤部・薬剤師 長寿医療研修部 高齢者薬学教育研修室 室長, 2.長寿医療研修部 高齢者薬学教育研修室 室長)

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 高齢者医療におけるポリファーマシー問題は、薬物有害事象のリスクを高め、患者の生活の質(QOL)を大きく損なう可能性があることから、重要な課題である。ポリファーマシーは「多数の薬剤使用に伴う薬物有害事象や服薬アドヒアランスの低下、不必要な処方や過量・重複投与などの薬剤関連のあらゆる不適切な問題」と捉えるべきとされている。そのため、単に薬剤数を減らすことにとどまらず、患者を包括的に把握し、非薬物療法や患者及び家族への情報提供とその理解・同意が必要である。この問題に対応するため、薬剤師は薬剤の専門知識だけはなく、患者の認知機能や運動機能や食事、排泄といった情報や一人ひとりの生活背景や望む生き方を深く理解する必要があり、患者の個々の状況や希望に合わせたアプローチが求められる。
 近年、日本老年医学会や厚生労働省から提供された高齢者の薬物療法に関するガイドラインや指針は、薬剤師にとっての重要な知識資源であり、それらに基づく薬物療法の適正化が、高齢者医療における薬剤師の役割をさらに重要なものにしている。また、演者も「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」を作成し在宅医療に対する薬剤師の新たな業務に対する取り組み方を示した。本講演では最新のガイドラインや指針などもご紹介したいと考える。
さらに、薬剤師が薬物療法を通じて患者の生活の質の向上を目指す際、薬剤だけでなく、患者自身とその生活を全面的に捉えることの重要性を強調したい。患者がどのように生きたいのか、どのように最期を迎えたいのかという希望を理解し、薬物療法に反映させること。これが、患者に真に寄り添う薬剤師の姿勢であり、ポリファーマシー対策の核心である。本公演のタイトルに付けた「~あなたは患者の何を見ますか?~」この問いは、薬剤師が患者を単なる薬の受け手としてではなく、その人自身としてどのように捉え、人としてどのように接するかを問うものである。本講演を通じて、薬剤師が高齢者医療における薬物治療の質の向上に向け、新たな可能性をどのように開くかについて、深く考える機会となることを期待する。