[1P-38*] PHF(Tau-fibril)の部分モデルの分子動力学シミュレーションとPET薬剤の結合自由エネルギー計算
タウタンパク質(Tau)は、中枢神経系および末梢神経系の神経細胞やグリア細胞に発現し微小管の重合や安定化を調節してる微小管結合タンパク質として知られている。また、アルツハイマー病の特徴としてTauの機能喪失と過剰なリン酸化による神経原線維変化(NFT)が見られる。NFTによりTauは二重に並んだ螺旋構造を作り線維化(PHF)する。これにより細胞死を引き起こす。Tauの蓄積はアルツハイマー病の進行過程と相関があり、近年TauをターゲットとしたPET薬剤の開発が進められている。しかし、これらのPET薬剤がTauのどの部位に結合するのかは明らかになっていない。PHFは通常Tauが二重に並んでいるが、先行研究では片側螺旋モデルのドッキングシミュレーションが行われた。しかし、我々の研究で片側モデルと通常のPHFではダイナミクスが異なる。そこで、本研究ではTauのPHFの部分モデルである十量体モデル、三十量体モデルの分子動力学シミュレーションとPET薬剤の結合自由エネルギー計算を行い、薬剤結合部位のダイナミクスと薬剤の結合しやすさについて調べた。