第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-02*] 高選択的CK2a1阻害剤の創出を目指したニトリル系化合物の阻害機構の解明

池田 朝香1, 露口 正人1, 中村 真也2, 西脇 敬二2, 仲西 功2, 木下 誉富1 (1.大阪府大・院・理, 2.近大・薬)

セリン・スレオニンキナーゼCasein kinase2 (CK2) の触媒サブユニットとしてCK2a1とCK2a2の2つがある。これらは制御サブユニットCK2bと結合して活性を示す。CK2a1はがんなどの創薬標的であるが、CK2a2はCK2a1のオフターゲットとみなされる。両CK2aはアミノ酸配列の相同性が非常に高く、ATPサイトの立体構造が酷似していることから、ATP拮抗阻害剤を高選択的にするのは難しい。本研究では、CK2阻害剤のうち、ニトリル基を含む化合物AG1112に注目した。AG1112とCK2a1、CK2a2との複合体についてX線結晶構造解析したところ、AG1112は両CK2aのATPサイトに結合していた。さらに、AG1112はCK2a1にのみ、CK2bの結合部位にも結合していた。結晶中では、b部位に結合したAG1112が隣接するCK2a1のC-lobeに結合し、CK2a1が多量体化する様子が観察された。本研究では生化学実験などを行い、AG1112のCK2a1のb部位への結合がどのようにCK2a1への阻害に関与するかを調べた。その結果、AG1112はb部位に結合することによりCK2a1の多量体化を引き起こし、アロステリック阻害に関与することが示唆された。b部位の構造の違いから、これはCK2a1特異的な現象であると考えられる。以上より、CK2a1高選択的阻害剤の創出が加速する。