第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-06*] Caldanaerobacter由来アセチルキシランエステラーゼの構造決定と反応性評価

佐々本 康平1,2, 下澤 勇弥1,2, 氷見山 幹基2, 森芳 邦彦3, 大本 貴士3, 上垣 浩一4, 西矢 芳昭1, 中村 努2 (1.摂大院・理工・生命, 2.産総研, 3.大阪産技研, 4.近大・農)

Carbohydrate esterase family 4(CE4)に属するアセチルキシランエステラーゼ(AXE)は、糖の脱アセチル化を触媒する金属酵素である。その中でも、Caldanaerobacter subterraneus subsp. tengcongensis 由来AXE(TTE0866)は他のCE4酵素と異なり、酢化度が高いアセチルセルロースの脱アセチル化を触媒するため、資源の再利用の観点から産業応用が期待される。しかし、その結晶構造は未知であり、その特異な反応性の要因究明が困難だった。
本研究では、TTE0866の結晶構造を決定し、他のCE4酵素との構造比較を通じて、酢化度が高いアセチルセルロースに反応する要因を考察した。X線結晶構造解析により、TTE0866の触媒ドメインはCE4酵素に高度に保存される(β/α)8バレル構造と触媒残基を有することが確かめられた。しかし、TTE0866と他のCE4酵素では、活性中心近傍のW264残基の配向が大きく異なった。他のCE4酵素ではW264相当残基はsubsite +1に位置するのに対し、TTE0866のW264残基はsubsite 0に位置し、それぞれ基質結合様式が異なると予想された。本発表では、TTE0866の種々の基質に対する反応性や、他のCE4酵素との基質結合様式の比較から、W264残基の配向の影響について議論する。