第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-14*] 赤痢菌エフェクターIpaH1.4/2.5による直鎖状ポリユビキチン鎖生成酵素(LUBAC)認識機構の解析

平木 慶人1, 西出 旭2, 高木 賢治3, 岩井 一宏4, キム ミンス2, 水島 恒裕1 (1.兵県大院生命理, 2.京大・医・医学教育・国際化推進センター, 3.津山高専, 4.京都大・医・細機)

ヒトでは高度で複雑に発達した免疫系が細菌の感染を防いでいる。しかし、赤痢菌など一部の病原性細菌は、エフェクターと呼ばれる毒性タンパク質により宿主の免疫を制御・抑制することで、自身の感染を確立している。赤痢菌のエフェクタータンパク質IpaH1.4とIpaH2.5はNF-κBの活性化による炎症応答を制御するユビキチンリガーゼLUBAC(HOIL-1L,HOIP,SHARPIN)複合体の機能を阻害していることが報告された。IpaH1.4と2.5はユビキチンリガーゼ活性を持ち、HOIPサブユニットにK48型ポリユビキチン鎖を付加することで、プロテアソーム分解に導き、NF-kBによる免疫応答を阻害する。しかし、IpaH1.4とIpaH2.5によるLUBACの認識機構は明らかにされていない。そこで、本研究ではX線結晶構造解析及び生化学的な解析により、IpaH1.4と2.5によるLUBAC認識機構の解明を目的とした。IpaH1.4とIpaH2.5の欠失変異体を作製し、LUBACの機能部位を含むHOIP(472-1072aa)-HOIL-1L(1-191aa)複合体との相互作用解析を行い、IpaH1.4とIpaH2.5のLUBAC認識領域を同定した。さらに、IpaH1.4とIpaH2.5の基質認識領域をX線結晶構造解析によりそれぞれ分解能1.4Å、3.4Åで立体構造を決定した。次に、相互作用に重要なアミノ酸残基を特定するため、立体構造既知なIpaHファミリーと構造比較を行い、部位特異的変異体を用いた相互作用解析及び活性測定により、IpaH1.4及び2.5が基質認識に関わるアミノ酸残基を同定した。