第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-15*] 緑色蛍光蛋白質AzamiGreen変異体における赤色蛍光発生の構造基盤

大坪 史歩1, 竹川 宜宏1,2, 今村 博臣2, 今田 勝巳1 (1.阪大・院理, 2.京大・院・生命科学)

生体深部のイメージングには、生体内で散乱や吸収が生じにくい長波長光が適しているが、既存の長波長蛍光蛋白質は蛍光量子収率が低いため暗い。また、従来の長波長蛍光蛋白質の大部分は3種類のRFPを出発点とする分子進化で作成されており、多様性が低く高性能の長波長蛍光蛋白質の開発に限界がある。そこで、我々は既存RFPと系譜の異なる新規RFPの創出を目的として、既存のRFPと比較的系統の近いGFPであるAzamiGreenに着目し、変異導入により赤色蛍光を発する蛋白質を作成して、赤色化に必要な因子の同定と構造基盤を明らかにすることを試みている。最近、我々は約30アミノ酸の変異導入により、赤色蛍光強度が異なる2つの赤色化蛋白質、AzamiRed0.6およびAzamiRed1.0の作成に成功した。そこで、AzamiGreen、AzamiRed0.6、AzamiRed1.0のX線結晶構造解析を行い、それぞれ1.62 A、1.84 A、2.10 A分解能で構造を決定した。その結果、AzamiRed1.0の蛍光団に隣接する残基の主鎖にDsRedと同様のacylimineが形成され、さらに隣の残基とcis型の酸化ペプチド結合を形成していることがわかった。また、赤色蛍光強度の弱いAzamiRed0.6の蛍光団にはacylimineを形成しているものといないものが混在していた。従ってAzamiGreenの赤色化はDsRed同様の蛍光団近傍の共役系の広がりに起因すると考えられる。