[1P-17*] Biophysical and biochemical analysis of cancer related mutant of CBL ubiquitin ligase
CBLタンパク質は、活性化・自己リン酸化された受容体型チロシンキナーゼ(EGFR、c-METなど)をユビキチン化し、シグナル伝達を負に制御するユビキチンリガーゼである。細胞増殖の抑制因子として機能し、その機能不全は、ヒトの癌に関わる。CBLタンパク質は非リン酸化状態では閉じた構造を形成し、ユビキチン結合酵素(E2)との結合部位はドメイン間相互作用により塞がれている。Y371がリン酸化されることで開いた構造に変化し、E2結合面が露出する。CBL K382Eは、リン酸化に非依存的に開いた構造を形成する変異体であり、非リン酸化状態において高い活性を有するにも関わらずがん変異体である。本研究の目的は、CBL K382Eのがん変異体としての機能について構造生物学的観点から明らかにすることである。最初に、CBL K382E変異体のリン酸化について解析した。その結果、Y371だけではなく、新たに別の部位がリン酸化されることが明らかとなった。新たに見出されたリン酸化部位周辺のペプチドを用いた解析により、リン酸化によりCBL の基質結合ドメインとの結合性を獲得することが示唆された。最後に、NMRによる滴定実験を行ったところ、このペプチドが基質タンパク質と同じ部位に結合することが明らかになった。以上の結果より、CBL K382E変異体は、リン酸化により基質結合が阻害され、活性が抑制されることが示唆された。