[1P-21*] Single-particle electron microscopy on an intramembrane-cleaving protease using the antibody labeling technique
大腸菌由来のRsePは、細胞表層ストレス応答でRseAを切断する膜内切断プロテアーゼとして同定された。一連の反応で、RsePはDegSプロテアーゼによってC末端が切断されたRseAを取り込み、膜貫通領域で切断を行う。RsePは4回膜貫通型タンパク質であり、ペリプラズム領域に2つのPDZドメインを有する。部分断片の構造解析や化学修飾実験から、PDZ ドメインは膜内に存在する活性中心の上に覆いかぶさるように配置することが示唆され、DegSによる切断でサイズが減少したRseAのみを取り込むフィルターとして機能するという仮説が立てられた。本研究では、超好熱菌由来のRsePホモログを取り上げ、全長構造をクライオ電子顕微鏡で決定することで、PDZ ドメインによる基質取り込み制御機構を解明することを目指した。ただし、RsePホモログのサイズは約50 kDaであり、単独で単粒子解析を行うのは困難である。そこで2つのアプローチで抗体断片を結合させることで粒子サイズの最適化に取り組んだ。1つ目の方法では、PDZ ドメインに対するモノクローナル抗体を取得し、RsePホモログとFabの複合体を作製した。もう一つの方法では、PAタグと呼ばれるエピトープ配列をRsePホモログのループ領域に挿入した変異体を作製し、これを認識するNZ-1 抗体のFabを結合させた。本発表では、それぞれの方法で作製した複合体の解析結果を示し、全長タンパク質でのドメイン配置について議論する。