第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-1] ポスター1(1P-01ー1P-48)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[1P-43*] シグナル伝達たんぱく質Notchとアルツハイマー病関連たんぱく質APPの脂質分子との相互作用の違い

南 知香, 柳野 賀緒梨, 松倉 里紗, 大多和 克紀, 宮下 尚之 (近大・生物理工)

アルツハイマー病関連たんぱく質である隣接細胞間のシグナル伝達を担うたんぱく質Notchは細胞膜上でγ切断酵素によって切断されることがわかっている。生体膜環境は膜たんぱく質間相互作用に影響するが、現在のところNotchのγ切断酵素による切断メカニズムや生体膜環境との相互作用の詳細はまだ十分にわかっていない。そこで本研究では、Notchと生体膜環境脂質分子との相互作用を明らかにするために、粗視化モデルを用いて脂質環境でのNotch とアルツハイマー病の原因となるたんぱく質APPのシミュレーションを行い、既に脂質分子との相互作用が明かされているAPPと比較した。その結果、APPはコレステロールと強く相互作用する一方で、NotchはAPPほど強く相互作用しない事がわかった。これは先行研究の実験結果を支持する。また、相互作用は弱いとは言え、Notchはコレステロールと膜貫通部位にあるALAと特異的に相互作用する事がわかった。また、スフィンゴ脂質との相互作用はコレステロールほど強くない事がわかった。この事から、Notchはコレステロールやスフィンゴ脂質が全くないラフトで無い環境を好むというより、若干コレステロールやスフィンゴ脂質などを含む環境を好むのでは無いかと考えられる。