第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-67] CD・吸収同時測定による抗体医薬品の高次構造評価の効率化

鈴木 仁子, 山根 愛, 大山 泰史, 堀口 靖夫, 赤尾 賢一, 永森 浩司 (日本分光株式会社)

 円二色性(CD)分光法は、抗体医薬品の研究開発や品質管理において、二次構造の推定に加え、ICH Q5Eで規定されている製造工程変更前後の抗体や、イノベーターとバイオシミラーの高次構造の同一性を客観的に評価する目的で広く利用されている。タンパク質の二次構造を精度良く推定するためには、取得したCDスペクトルの縦軸を正確な濃度を用いて平均モル残基楕円率やdelta epsilonに変換する必要がある。また、高次構造の同一性評価においては、二次構造や三次構造の情報を反映するCDスペクトル変化の有無を高感度に検出するために、試料調整に起因する濃度誤差の影響を除去する必要がある。従来、これらの目的で利用される濃度は、紫外可視分光光度計もしくはCD測定装置の吸光度測定機能を用いて取得されてきた。専用の紫外可視分光光度計による測定は吸光度精度が高い一方で、多検体の試料の取り扱いが必要な現場では、作業の煩雑さが課題となっていた。ここでは、高精度かつ同時にCDおよび吸収スペクトルを測定することができる円二色性分散計 J-1500を用い、効率的かつ高精度に抗体の二次構造解析および高次構造の同一性評価を実施した結果を報告する。