第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-71] プロインスリンの酸化的フォールディング経路の理解

関 凪沙1, 金村 進吾1, 荒井 堅太2, 山口 宏1, 李 映昊3, 稲葉 謙次4, 奥村 正樹5,6 (1.関学大・理工, 2.東海大・理, 3.韓国基礎科学支援研究院, 4.東北大・多元研, 5.東北大・学際科学フロンティア研, 6.創発)

インスリンは前駆体であるプレプロインスリンとして生合成された後に、小胞体通過シグナルであるプレ配列が切断された後に、小胞体内にプロインスリンとして挿入される。プロインスリンは86残基からなる前駆体タンパク質であり、3本のジスルフィド結合を持つ。インスリンはジスルフィド結合の形成を伴ったフォールディング(酸化的フォールディング)が天然構造の構築に不可欠であるが、酸化的フォールディング経路は不明である。また、小胞体では酸化的フォールディングを触媒する酵素として、Protein Disulfide Isomerase (PDI)ファミリー酵素が存在するが、これら酵素がプロ領域を含むプロインスリンをどう認識するのかその機序も不明である。そこでプロインスリンの酸化的フォールディング経路について、逆相HPLCおよび質量分析を用い検証するとともに、各反応ステップにおける各種PDIファミリーの触媒能を検証した。酸化的フォールディング解析から、速度論的にトラップされる2本のジスルフィド結合を持ったフォールディング中間体種が観察され、この種を経由し最終構造へと形成することが示唆された。さらに、特定のPDIファミリーがプロインスリンに素早くジスルフィド結合を導入することを見出した。以上、プロインスリンの酸化的フォールディング経路の詳細について説明する。