第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-72] カルシウムによるERp57-CNXの構造機能調節

谷川 雄哉1, 金村 進吾1, 伊藤 大2, 林 雨曦3, 松崎 元紀4, 黒木 喜美子5, 山口 宏1, 李 映昊3, 前仲 勝実5, 稲葉 謙次6, 奥村 正樹7,8 (1.関学大・理工, 2.大邱慶北科学技術大学・能認知科学, 3.韓国基礎科学支援研究院, 4.徳島大・先端酵素研, 5.北海道大・薬, 6.東北大・多元研, 7.東北大・学際科学フロンティア研, 8.創発)

全タンパク質の約3分の1は細胞小器官である小胞体内に一旦挿入され、翻訳後修飾として糖鎖やジスルフィド結合が導入される。小胞体内で、糖鎖修飾されたタンパク質はCa2+結合シャペロンであるカルネキシン(CNX)やカルレティキュリン(CRT)によって凝集が抑制され、CNX/CRTサイクルと呼ばれる。さらにCNX/CRTサイクルと連動して、酵素ERp57がCNX/CRTによって受け渡された基質に対しジスルフィド結合を導入することが知られるが、ERp57とCNX/CRT間相互作用の制御において不明な点が多い。そこで、本研究ではCa2+に着眼し、ERp57とCNXの相互作用の制御、および機能調節について検証した。その結果、ERp57とCNXの複合体形成をCa2+が負に制御しており、Ca2+非存在下でシャペロン機能が増加した。さらに、Ca2+非存在下ERp57とCNXの複合体形成は主要組織適合遺伝子複合体の重鎖にジスルフィド結合を導入した。これは小胞体内Ca2+枯渇状況が小胞体ストレス環境を模倣しており、ミスフォールド体が蓄積する状況下、Ca2+非存在下でERp57とCNX複合体形成が促されることで、酸化的フォールディング触媒とシャペロン能が亢進されることを示唆している。