第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-82] MDシミュレーションを用いた基質反応位置選択性向上のための構造改変

池部 仁善1, 鈴木 宗典2, 小森 彩2, 亀田 倫史1 (1.産総研・AIRC, 2.KNC・KNCバイオリサーチセンター)

酵素反応は工業的な加工に広く利用されている。酵素反応を工業的に利用するためには、酵素の活性、安定性、選択性を高めることが重要となる。特に、位置選択性を高めることは、処理コストを低減するために重要である。本ポスターでは、基質反応部位の位置選択性を高めるための置換候補残基を予測する手法について報告する。この方法は、副生成物の生成を抑えることで、目的物の位置選択性を高めることを目的としている。本手法を、位置選択性の低い酵素であるチトクロムP450 CYP102A1(BM3)と2種類の基質に適用した。P450はそれぞれの反応生成物に対応する複数の酵素-基質複合体構造(ドッキングポーズ)を形成すると考えられる。我々はこれらのドッキングポーズをMDシミュレーションにより網羅的に予測した。次に、このドッキングポーズ情報を用いて、目的物の生産率を向上させるための置換候補残基のランキングリストを予測した。この方法では、置換候補残基の数を減らすことで試験対象となる変異体の数を大幅に減少させ、目的物の生産率を最大6.4倍に向上させることができた。この方法は、位置選択性を高めるために酵素改変する際に有用な方法となるだろう。