第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-83] 明るさと高い熱安定性を有する最小サイズの発光酵素

大室 有紀1,3, 古田 忠臣2, 松井 勇人1, 叶井 正樹1, 上田 宏3 (1.島津・基盤研, 2.東工大・生命理工, 3.東工大・化生研)

発光酵素は、高感度なレポータータンパク質として、分子生物学から診断・検査等まで幅広い分野で使用されている。発光酵素には、高感度検出のための高い発光活性、診断・検査の現場で容易に扱うための高い熱安定性、そして可能であれば発光酵素と標的タンパク質の大量発現や立体障害による標的タンパク質の機能を阻害しない小さなサイズが求められる。上記を満たす既存の発光酵素としては、ALuc (Artificial Luciferase, 21 kDa)、NanoLuc (19 kDa)、GLuc (Gaussia Luciferase, 18 kDa)、TurboLuc (16 kDa)がある。我々は偶然、ALuc (194アミノ酸)のN末端部分49アミノ酸を削っても、発光活性が維持されることを見出した。そこで今回、ALucの構造をさらに削り、活性を維持したまま更に小さい発光酵素を作製することを試みた。その結果、発光酵素の中で最小サイズとなるALuc変異体13 kDa)を得た。開発した発光酵素は基質セレンテラジン類の添加によりNanoLucとほぼ同等の発光値を示した。また60℃で10分間保温しても80%以上の発光値を維持し、NanoLucが活性を示さない70℃でも60%の活性を保持した。さらに、大腸菌発現系を用い、p大量発現・精製に成功した(100 mL培養 1.7 mg-)。以上より、高活性と安定性を併せ持つ最小サイズの発光酵素の開発に成功したと考える。