第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-84] グリシンオキシダーゼの基質変化に伴う反応メカニズムの解明

東浦 優希1, 小田 龍佑2, 川崎 大志2, 西矢 芳昭1,2 (1.摂南大院・理工・生命, 2.摂南大・理工・生命)

【研究背景および目的】 フラビン酵素グリシンオキシダーゼ(Gox)は、グリシンの酸化的脱アミノ化を触媒する。水溶性ビタミンの1種であるチアミンのチアゾール部は、Goxの反応生成物であるイミノグリシンを初発として生合成される。Goxの比活性は極めて低値であり、容易に水と反応するイミノグリシンが酵素に保持され易く進化したと予想される。既にGeobacillus kaustophilus由来Gox(GoxGk)とグリシンの複合体構造が解明され(PDB ID: 4YSH)、活性中心領域においてグリシンは反応部位以外にもう1分子確認された。また、フラビン近傍のR336側鎖はopen-closed構造変換の際に大きくフリップし、触媒反応に対する重要性が示唆された。本研究では、Goxの反応機構の理解と機能改変を目的とした。
【結果および考察】 われわれは、GoxGk活性中心のopen-closed構造比較から、R336と非反応性グリシンおよびE55との相互作用に着目し、これらの協同効果により低比活性をもたらすと推定した。また、この効果はGoxGkが示す顕著な基質阻害とも関連すると考えた。そこで、非反応性グリシン結合部位を狭めた変異体、E55変異体をそれぞれ作成し、酵素特性を分析したところ、基質阻害の低減や消失、および比活性向上効果が確認された。一方、N-メチルグリシンやN-エチルグリシンとの反応においても基質阻害が低減し、これらの基質は非反応性結合が起きにくいことを結合シミュレーションから説明できた。E55周辺の変異効果などについても報告したい。