第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[1P-2] ポスター1(1P-49ー1P-87)

2021年6月16日(水) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[1P-87] 酵素活性に応じて発光する大腸菌を用いたアシル-ACP還元酵素のハイスループットスクリーニングと高活性変異体の評価

林 勇樹1, 新井 宗仁1,2 (1.東大院・総合文化, 2.東大院・理・物理)

2010年に藻類で見つかったアシル-ACP還元酵素(AAR)は、脂肪酸生合成経路の中間産物であるアシル-ACPを基質として、脂肪酸アルデヒドを生成する。脂肪酸アルデヒドは、バイオ燃料であるアルカンや、ワックスや化粧品として利用される脂肪酸アルコールのような有用物質の基質であるが、AARの活性は非常に低いため、物質生産の実用化にはAARの高活性化が必要不可欠である。タンパク質の活性を向上する方法の1つに進化分子工学的手法が挙げられる。多数の変異体からなるライブラリを作製し、個々の活性を評価して、高い活性を示した変異体を選択する。この変異と選択のサイクルを高速に繰り返すことで、高活性変異体を創出できる。しかしAARの活性を評価するためには、AARを発現した大腸菌の破砕、有機溶媒による抽出、GC-MSによる定量といった多段階プロセスが必要であり、多大な時間と労力を要する。発表者は、多数の変異体AARの活性を簡便、迅速に評価するために、AARの活性に応じて発光する大腸菌を開発した。この大腸菌を用いれば、培養過程の発光量を撮影するだけで、細胞内のAAR活性を評価できる。本手法を用いて、2000種を超える変異体AARライブラリから、短期間で、野生型よりも高い発光を示す38種の新規高活性変異体AARを取得した。本発表では、得られた高活性変異体AARの上位10種について詳細に解析したので、その結果を報告する。