第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスター賞フラッシュトーク

[2FT-1] 物性・フォールディング (2P-45~2P-60)

2021年6月17日(木) 14:00 〜 14:30 チャンネル1

座長:相沢 智康(北海道大学)、齋尾 智英(徳島大学)

[2P-46*] ミノサイクリンによるインスリンアミロイド分解生成物の構造・毒性評価

森 若子1, 柚 佳祐1, ロブシガー ナディン1, 佐藤 久子1, 永瀬 晃正2, 岩屋 啓一3, リンドグレン ミカエル4, 座古 保1 (1.愛大院・理工, 2.東京医大・茨城医療セ, 3.杏雲堂病院佐々木研究所, 4.ノルウェー科技大)

糖尿病治療患者のインスリン注射部位に形成されるインスリンボールが問題視されている。これらの主成分はインスリンアミロイドであり、血糖値のコントロール不良を引き起こす他、周辺組織への細胞毒性による壊死の症例が報告されている[1]。我々はこれまでインスリンボールにおけるアミロイドの構造および毒性多型について報告してきた[2,3]。さらに、毒性インスリンボールを持った患者はミノサイクリン抗生物質の投与歴があり、インスリンボールの毒性発現とミノサイクリンとの関係性が示唆されているが、インスリンアミロイドに対するミノサイクリンの直接的影響は、未だに明らかになっていない。そこで本研究では、ミノサイクリンのインスリンアミロイドへの構造・毒性への影響を評価した。インスリンボールモデルとして、還元剤の有無により作り分けられたヒトインスリン由来のアミロイド、一般的に使用されるインスリン製剤由来のアミロイドを使用した。その結果、生体濃度範囲内のミノサイクリンにより、上記のインスリンアミロイドが分解され、一時的に毒性生成物が出現する事を見出した。これらの結果は、インスリンボール内のアミロイドの構造及び毒性が、抗生物質投与により影響を受けることを示唆している[4]。Reference[1] Nagase, T. et al., Lancet, 373, 184 (2009).[2] Yuzu, K et al. RSC Advances, 10, 62, 37721 (2020)[3] Iwaya, K. et al., BMC Endocr Disord., 19, 61 (2019)[4] Mori, W. et al., submitted