第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスター賞フラッシュトーク

[2FT-1] 物性・フォールディング (2P-45~2P-60)

2021年6月17日(木) 14:00 〜 14:30 チャンネル1

座長:相沢 智康(北海道大学)、齋尾 智英(徳島大学)

[2P-54*] 高分解能 NMR を用いた天然変性タンパク質 Mint3 と FIH-1 の相互作用解析

前田 龍1, 長門石 曉2, 津本 浩平2,3, 松崎 勝巳1, 星野 大1 (1.京大院・薬, 2.東大・医科研, 3.東大院・工)

低酸素ストレス応答に関わる転写因子として、Hypoxia Inducible Factor-1 (HIF-1) が知られ ている。同タンパク質は、酸素存在下において Factor Inhibiting HIF-1 (FIH-1) により活性を 抑制されている。一方、マクロファージやがん細胞などの一部の細胞では通常の酸素濃度に おいても HIF-1 が活発に働いているが、その分子機構は長らく不明であった。しかし、近年 FIH-1 と結合して HIF-1 の活性を促進するタンパク質として Munc18-1 interacting protein 3 (Mint3) が見いだされた。本研究では Mint3 と FIH-1 の相互作用の詳細な分子機構を明らかにするために、Mint3 の N 末端フラグメント (Mint3NT) の高分解能 NMR 解析を行った。まず、Mint3NT の NMR ス ペクトルにおいて、1H の化学シフト値が 7.5 - 8.5 ppm の領域に局在していることが分かっ た。このことから、Mint3NT は高度に変性していることが示唆された。また、15N-標識 Mint3NT に対して非標識 FIH-1 を添加したところ、特定のピークにおいて強度が減弱する ことが分かった。相互作用に伴うピーク強度変化を残基番号に対してプロットしたところ、 かなり広い範囲におよぶことが明らかとなった。これらの領域を中心として、Mint3NT が FIH-1 に張り付くように相互作用しているのではないかと考えている。